【古典邦画】「秀子の車掌さん」

成瀬巳喜男監督の、1941(昭和16)年の、デコちゃん(高峰秀子)との初のコンビ作品「秀子の車掌さん」。YouTubeにて。

当時17歳の人気スターだったデコちゃんを起用したアイドル映画だな。原作は井伏鱒二の小説。

成瀬監督の作品は、当時の社会や文化、世相を盛り込むのが特徴の一つだが、コレは開戦前の重い空気を感じることはなくて、浮世離れした牧歌的な雰囲気の作品である。

それでも、ラストは、そりゃねえだろう!と驚く展開で、さすがは成瀬監督、皮肉が効いてるなぁと感心した。

甲府のバスで車掌をする「おこまさん」は、新興のバス会社に客を取られて伸び悩む状況をなんとかしようと、運転手と共に奮闘する。
そこで、現地に滞在してた小説家に、甲府の名所旧跡を知らせる文を書いてもらい、バスでアナウンスすることを思い付く。
会社にも許可を得て、いよいよアナウンスを始めるという当日、会社はおこまさんや運転手に内緒で、バスを売って会社を身売りすることを決定する。

画質が悪かったけど、17歳のデコちゃんの可憐さが眩しいね。いつも威張ってる、いかにも資本家然とした悪どい社長との対比が、デコちゃんの愛らしさを際立たせてもいる。

アナウンスの中に、甲州街道や青梅街道、笛吹川などが出てくるけど、風景は、今とは全然違う、舗装もされてない自然の中の一本道だ。

デコちゃんもボロボロの下駄履きで田んぼを歩くなど、素朴さが全面に出ており、開戦直前とは思えないね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。