【映画】「ディア・ハンター」

ロバート・デ・ニーロ主演の「ディア・ハンター(The Deer Hunter)」(1978・米、マイケル・チミノ監督)。

この映画も戦争による悲劇の物語。ベトナム戦争だ。確か“ロシアンルーレット”が話題になったんじゃなかったっけ?

自然がいっぱいで長閑なペンシルバニア州の田舎町の製鉄所で働く青年労働者たち。翌週には徴兵でベトナムに行くマイケル(デ・ニーロ)、ニック、スティーブン3人の壮行会が、仲間の結婚式も兼ねて盛大に行われる。

もう町をあげての狂乱のバカ騒ぎで、飲めや、歌えや、踊れやで朝までパーティのシーンがけっこう長く続く。一夜明けて彼らは揃って鹿狩りに出かけ、マイケルは鹿を仕留める。

後半の暗くて悲惨な戦争のシーンと対比させるようにアメリカの田舎町での平和な一時だ。

後半、ベトナムのジャングルで苦戦を強いられるアメリカ軍。マイケル、ニック、スティーブンの3人はベトナム人民軍の捕虜となっている。彼らは監視兵たちにロシアンルーレットを強要されているが、マイケルが機転を利かせて脱走に成功する。

監視兵たちが捕虜にロシアンルーレットをさせ賭けをして遊んでるんだが、いつ弾が出るかとハラハラドキドキで、発狂寸前となっているアメリカ兵も迫真の演技で痛くて観てられないくらいだ。さすがはデ・ニーロ。

なんとか脱走してサイゴンの町で、またロシアンルーレット賭博に熱中する連中を目にする。観衆の中にはマイケルもいて、彼は急に使われてた銃を手にしてこめかみに当てると、躊躇なく引き金を引く。マイケルは戦場における不安と恐怖から多分、今で言うPTSDになってると思う。ベトナム帰還兵にそういう例が多いし、たくさん映画の題材にもなってるよね。

マイケルは復員するが、本国での彼は別人みたいになっており、以前のように鹿狩りに出かけても獲物を仕留めることができない。仲間のスティーブンは両脚と片方の腕を失って陸軍病院で治療の日々。スティーブン宛てにサイゴンから謎の送金があって、ニックの生存を確信したマイケルは現地へ飛ぶ。ニックを探し出すが、彼はドラッグで変わり果てて“伝説のアメリカ人”として、闇のロシアンルーレットに参加していた…。

結局、ニックもロシアンルーレットで命を落とすが、本国でマイケル、スティーブンも参列してニックの葬儀を執り行う。婚約者や、かつての仲間達が集まる中、一同は“ゴッド・ブレス・アメリカ”を歌い乾杯する。何とも言えないやりきれない哀しみのシーンだ。

ただ、“ベトコン”がロシアンルーレットに興じて、冷たく残酷で狂気を体現するように描いてるのは、当時のアメリカの戦争映画にあったヒロイズムが現れてて批判されるだろう。ベトナム戦争はアメリカ軍の勝手な介入で無差別攻撃なんてザラにあったし。戦争で狂気に陥った青年を描いて厭戦を訴えたのかもしれないが、そういうことを思いながら鑑賞した。

しかし、デ・ニーロはカッコいいけど、3時間強は長過ぎる。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。