テレワークとセキュリティ


一般的なテレワーク/リモートワーク/在宅勤務のセキュリティというと、偶発的盗難とか、紛失などがテーマとなっていると思うが、ここでは職業的犯罪集団や、プロの産業スパイ、敵性国家の諜報活動などに対してのセキュリティ、というものを考えてみたい

一般的なテレワークとセキュリティ

おそらく、盗難や紛失対策として、多元的認証や、シンクライアント、VPN、暗号化などが考えられているだろうが、このような技術的手段では、殺人もいとわないような犯罪集団が相手では無力だろう。

テレワーク前

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会社に出社しなければ、業務(社内システムへのアクセス)ができない状態。

よって、社員や、社員の自宅を急襲したとしても、職業的犯罪集団らが取得できるものは、社員カード(入館証)やパスワード(認証情報)などであり、結局は社内システムへアクセスするにはオフィスへ侵入する必要がある。

オフィスへの物理的アクセスは、警備員、防犯カメラ、犯罪対象の社員の同僚の目などがあり、犯罪者側からは、なかなかにリスクが高いと思われる。

オフィスへの侵入は、映画やドラマでは手に汗握る一番盛り上がる場面かもしれないが、それはつまりリスクが高いということであり、現実的にはあまり選択されないだろう。

さらに社員の拉致・監禁は、(無断欠勤ということになり)数日で露呈してしまうというリスクもある。

まぁ、病欠申請をしておけば長期間の拉致・監禁は可能かもしれないが・・・

結論として、社員や、社員の自宅はターゲットになりにくいのではないか。

テレワーク後

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社員、社員の自宅を急襲することで、職業的犯罪者集団らは、社内システムへアクセスすることができてしまう。

こういう場面では、ターゲットとなった社員やその家族に対する命の保証はないだろう。

テレワークが普及すれば、何日間も出社する必要がないわけで、数日間(露呈しないように平日日中だけ不正アクセスするというパターンも考えられる)にわたって不正アクセスされる危険性がある。

つまり、テレワークが普及することで、社員やその住居は、職業的犯罪集団などのプロの犯罪者集団にとって格好のターゲットになる危険性がでてくる。

想定される侵害行為

社内システムからの社内機密情報、国家機密情報などの窃取や、社内システムへのマルウェアの散布など

危険度の高い企業

おそらく多くの民間企業は、本稿のようなセキュリティを気にするほどのことはないかもしれないが、パッと思いつく以下は気を付けたほうがよいかもしれない。

仮想通貨取引所や投資会社を含む金融業界。

行政府関係の仕事をしている企業(内容によるかも、外務省/防衛省とその他0の省庁では危険度に違いがあるかも)。

軍事技術を生産している企業。

兵器へ転用可能な技術を有している企業。

超大規模な個人情報を有している企業。

総会屋対策が必要な大企業(今どき総会屋などはいないのか!?)。

社会インフラを運用管理している企業。

情報セキュリティ業界(これはターゲットにされないか!?)。

その他にもあるかもしれない。

対策

あまり効果的なものが、私には思い浮かばない。

一日一回のテレビ電話。・・・生存確認と、なりすまされてない事の確認

最近ではフェイク動画というものもあるので、特に敵性国家の諜報機関を相手にするのであれば、効果はないかもしれない。
動画の顔と口元と音声を入れ替えることができるらしい。→フェイク動画

社員の自宅をオフィスビルと同程度の物理的セキュリティ(警備会社に警備員に防犯カメラ)にする。

こんなことが現実的ではないことぐらいは分かる

リンク(蛇足)


ほとんどはサイバー攻撃関係で、サイバー犯罪with物理犯行というものの報道はないけど・・・備忘録的リンクです

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以上


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