もちろん自分の幸せも願うのだけども。

こないだ上野公園で、中学生男女6人のスタバデビューを目撃した。修学旅行生か課外授業の自由時間で、このあと上野駅に集合して新幹線で帰るらしい。

「ぜんぶ400円ぐらいする…」「オシャレだから中学生が入ったら嫌がられない?」なんて言い合った後、「せっかく東京来たんだし!」「食べ歩きはダメだからお店の中の席ね!」と入店していく彼らの後ろに、ハラハラ、だけど少しだけワクワクしながら並ぶ。

男女別に並んだレジで、女の子は「『ふらぺちーの』って何ですか?」「コーヒー苦手なんですけど」とメニューを相談し、サイズを聞かれた男子は力一杯「Mで!!」と答えていた。店員さんは「コーヒーが入っているけれど甘くて飲みやすい」とキャラメルフラペチーノや限定メニューを勧めたり、カップを並べてサイズの確認をしたり、笑顔で丁寧に対応していく。

結局、女の子たちはキャラメルフラペチーノ、男の子たちは抹茶やマンゴーのフラペチーノなどを注文。もちろんレジで飲み物を待とうとして、ランプの下に誘導されていた。

「初めて自分からコーヒー飲んじゃった」「東京住んだらお前だってオシャレになれるのかな」と、4人席にぎゅうぎゅうと座り、はしゃぐ6人。
「帰ったら受験勉強ちゃんとしないと始めないとなぁ」なんて言いながら、会話は全部、志望校にみんな一緒に合格することが前提だった。

破滅的に暗い中学時代を過ごした私は、彼らの仲の良さが少しうらやましかった。

だけどそれ以上にうらやましかったのは、わからないことをまっすぐ聞いて、できたことを素直に喜び、自分は絶対大丈夫って自信を持っていること。
それは、コーヒーが飲めることより、東京でオシャレに暮らすより、きっとずっと楽しくて、難しい。

彼らの未来に、落ち込むことや自信を失うできことがあっても、それ以上に幸せなことがたくさんありますように。

ブラックコーヒーを飲みつつ、そんなことを願っていた。

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