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Adobe Analyticsの解説動画がupdateされているので、まとめてみた(入門篇)

情報が少ないと言われているAdobe Analyticsですが、Youtubeの公式チャンネルではかなりたくさんの動画が揃いはじめました(英語だけど)。
現時点でもかなりの入門篇動画が揃っているので、自分用の再勉強メモとして見る順番も考慮しながらまとめてみます。

記事内 - Adobe Analyticsの解説動画がupdateされているので、まとめてみた(入門篇)

1. データの集め方

どうやってAdobe Analyticsにデータは貯まっていくの?を解説している動画。今までは「ウェブサイトに訪問者がやってくると...」、と説明していたところを、「digital experience」と表現しているところがポイント。Adobe Analyticsは、ウェブコンテンツのみならず、アプリ、動画、音声デバイス等々、計測できるコンテンツは多岐に渡っているからこその表現と理解できます。
さて、この動画の一番のポイントはイメージリクエスト。イメージリクエストをAdobeのデータセンターに送りさえできれば計測ができるんですよ、ということ。そして、イメージリクエストに色々な付帯情報(メタデータ)をくっつけることで、後から様々な切り口で分析ができるようになる、ということです。この「付帯情報?」というものがなかなか理解しにくいものですが、要するにいま見ているコンテンツの「ページタイトル」や「URL」が該当します。こうすることで、このページコンテンツが何回見られた、何人に見られたということがわかるわけです。
この動画では、そうやってデータを送っているのね、というところまで理解できれば充分です。
もし、データ計測から処理の細かいところまで知りたい!という方はコチラの動画を見てもらえると、テクニカルなプロフェショナルになれます。もう少しライトでいいや、という方はこちらのホワイトペーパーをご覧いただくとよいです。

2.データを貯めるレポートスイートをつくる

データの集め方のコンセプト動画から、いきなり具体的な話として「レポートスイート」の作成方法です。Adobe Analyticsでは、データを貯める場所を「レポートスイート」と呼びます。イメージリクエスト で、「このレポートスイートにデータを飛ばして」、と指定しデータを貯めていきます。この「指定するもの」を「レポートスイートID」と呼び、動画中でも最初にID名を決めるものとして紹介されています。尚、Tipsとして開発環境のデータであれば「-dev」といった識別子をつけておくと良いと解説しています。運用の場面でも「これって、本番環境の計測データ?開発環境の計測データ?」とわからなくなることがあるので、真似して損はないと思います。
次に、「Site Title」というものが出てきます。これは、レポートスイートのフレンドリーネームです。こちらも[dev]、[prod]といった識別名をつけておくと運用上便利です。よく運用の場では、データレポート作成にあたって、「どのレポートスイートを見ればよいですか?」という会話を耳にします。ここで運用担当者として、「このレポートスイートです」、と言えるようになるのが初めの一歩です。
もう1つ、レポートスイート作成時に重要なことが「Time Zone」です。イメージリクエストが計測されたタイミングの時間をどこの地域時間基準に処理するのか、を指定する重要なものだったりします。日本だけで利用している場合では問題にはなりませんが、グローバルで利用する際にはどのTime Zoneなのかを気にしながら作業できるといいですね。
もし、1つ1つの設定項目を知りたくなったら、本家ヘルプをみていただくとよいです。

3. Adobe AnalyticsのUIを知る

ザザーッと全体の操作画面をウォークスルーしながら紹介しています。こんなデータが見れるよ、というよりも、大まかにこんな機能はここに格納されているよ、という趣旨の動画です。「うわぁ、こんな分析ができるのか」を期待して見るとガッカリしますが、全体を管理する立場の人にとってはこういう全体感の動画は有り難いものです。日々、UIは進化をし続けるのですぐに古くなってしまいますが、この動画に出てくるAdobe AnalyticsのUIは2020年4月29日時点では最新です。

4. 「分析」というコンセプトのサイクルを知る

この動画、地味に役立つものなのですが、業務から入っちゃう人にはあまり最初ピンと来ないかもしれません。「分析」というコトバを「作業」で捉えてしまう人ほど、分析プロセスを無自覚になりがちです。この動画では、「分析」というコトバのコンセプトとして、以下のサイクルがあるよね、と説いています。

・Define(要件定義):なんのための計測か、の大義名分を定義する
・Design(計測設計):大義名分で打ち立てた項目を計測する術を設計する
・Deploy(計測実装):データキャプチャの設定をする
・Analyze(分析):要件定義で定めた目的を満たす分析を行う
・Act(施策実施):分析から見えた改善アクション計画を立てる

改めて、こうしたサイクルを意識することで、分析ツール(ここではAdobe Analytics)を導入するプロジェクトに意味合いが出てきます。分析ツールを導入したけれど、「結局なんだっけ?」となるのは、このサイクルがチーム間で共有できていないときほど、起きやすくなります。
当然、このサイクルは分析ツールだけじゃなくて、どんなシステム導入でも当てはまるサイクルだと思います。データ活用ができる組織をつくりたい、と思う人たちほどこのサイクルに沿って導入ってやってたっけ?を常に立ち返る必要があります。

5.適切な役割を揃える

Adobe Analyticsの導入・運用プロジェクトってどういう役割の人が必要になるの?を解説した動画です。私自身も最初の頃はこの動画の意味合いがよくわかっていなかったのですが、「データ活用を組織ゴトにする」ということに向き合い始めると、適切な役割と業務責任範囲を決めておく、ということは大切だなと思います。動画中に出てくる主要な役割は以下です。

・Executive Sponsor
動画中には出てきていませんが、プロジェクト予算「執行権限」を持ち「分析」の意味合いを全社ゴトにできる役割を指します。時に組織内のブロック要素を排除することができる政治的調整役もできることも必要です。分析ツールがコロコロ変わる、社内の分析ツールがバラバラだ、といった現象には、この役割が不在または形骸化で機能していない、ということが要因ほとんどではないでしょうか。今一度、この役割って誰だっけ?を再考することは非常に重要です。この定義を機会に社内のエグゼクティブと会話する習慣ができる、ということまで形づくることができれば素晴らしいですね。

・Analytics Owner
Executive Sponsorに対して、説明責任を持ち、分析の重要性を社内に行き渡らせることができる役割です。個別に詳細な分析ができる、というよりも、社内文化をつくること、社内の分析レベルを適切に把握して成熟度コントロールができること、といった俯瞰的にビジネス目的と各種分析プロジェクトを管理することが求めらます。現実的にはツール導入の言い出しっぺがこの役割をにない、かつオペレーションも自分でやってしまう、ということが多く見受けられますが、この役割がおろそかになると、組織ゴトが遠のく要因になるので、できるだけ分けたほうがいいと思います。そのためにも、Executive Sponsorの「分析」の重要性理解がキーになります。(リソースが必要なのです、を訴えるためにも)

・Technical Architect
社内のデータマネジメントツールに精通し、社内全体のデータ統合の設計コントロールができ、ビジネス要件に基づいた技術コントロールができる役割です。実装作業そのものを行うというよりは技術品質責任が取れる人が担うポジションです。技術検証をリードしたり、技術側面において社内のナレッジ共有を行ったりすることがメインになるので、コミュニケーション力がより必要になります。

・Technical Lead
ビジネスサイドから要件を聞き、実装要件をまとめ、開発者にディレクションができる役割です。Technical Architectが全体調整や社内標準化を考える一方、より個々の計測案件に対してリードを取り、レベルを引き上げていくポジションになります。

・Implementation Developer
計測設定のオペレーションを行う役割で、要件に叶う実装そのものに責任を持ちます。どうすれば計測できるかを調査をし、実装と検証を重ねるといった設定の一連の作業ができるプログラム知識と製品理解が求められます。

・Business Analyst
計測データを分析し、各種ステークホルダーに対して分析結果と施策提案ができる役割です。ビジネスサイドの依頼主に対して積極的に要望を捉え、改善提案を行ったり、分析結果を関係者に共有して社内のデータ普及を、Analytics Ownerとともに推進します。

現実的にはここまでの役割を揃えることは困難というケースがほとんどで、特にTechnical面では兼任していることも多いと思います。こういうケースでは、小さくプロジェクト始めてだんだんと人を増やしていく、が王道になります。一度で全部理想の状態を作ろうとせず、状態目標を分割して徐々にリソースを増やしていくようなことを予め設計しておくとよいです。そのためにも、上記の役割と責任範囲があるよね、を最初からプロジェクトチーム内で共有しておくことが重要なのだと思います。

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今回は、超基本的なAdobe Analyticsの計測の仕組みとUIの概要を理解し、導入以前の分析プロジェクトへの基本的な心構えが理解できるところまでを入門篇としてピックアップしてみました。これからAdobe Analyticsのプロジェクトを始めるんだよね、という方々には、まずこの入門編5つの動画を見て、プロジェクトに対する意識づくりに役立ててもらえれば何よりです。