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Learn to Earn の先にあるもの

こんにちは、田上です。こちらのリリースの通り、グローバルで資金調達を発表しました。調達した資金は主にチームの拡大に使用します。Learn to Earn で新しい社会を創るために、そして教育をより良いものにするために、本 note では「Learn to Earn の先にあるもの」に思いを巡らせてみようと思います。

教育 × Web3 で見えてきたもの

2018年から PoL(ポル) というサービスを通して、教育分野でのブロックチェーン活用に取り組んできました。今でこそ Web3 という名前で 1 つの市場が生まれてくれましたが、4年前は「学習するとトークンがもらえる」というサービスは本当に理解されませんでした。当時の資金調達では「そんなものはユーザーの行動を動機づける理由にはならない」と一蹴されたことを今でも覚えています。

この4年で、教育 × Web3 で得たデータ、インサイト、そして見えてきたものは大きく次の3つです。

  1. 学習するとトークンがもらえるという設計は、ユーザーのリテンションレートを4倍向上させる

  2. 人類の学習履歴はブロックチェーンで管理するようになる

  3. これからの学習は GameFi になる

学習するとトークンがもらえるという設計は、ユーザーのリテンションレートを4倍向上させる

PoLは2018年の10月にリリースし、その後2019年6月にPoLトークンの発行を開始しました。約半年の期間を設けたのは、トークンの発行前後でユーザー行動に差が出ないか計測したかったからです。

結果、Day1のリテンションレートで以下のデータが取得できました(もちろんユーザーの個人情報とは結びつけていないです)。

  • トークン発行前:10%前後

  • トークン発行後:40%前後

トークンの獲得率とDay1リテンションレートの推移(2018/12~2020/3)

eラーニングの平均的なDay1リテンションレートは5~7%ほどと言われています。これはeラーニング業界全体の課題であり、グループワークを取り入れてみたりクイズ形式にしてみたり、業界全体として様々な仕組みが取り入れられてきました。PoLは、暗号資産・ブロックチェーンに特化したeラーニングのため、平均よりもリテンションレートは少し高いですが、概ね平均値と言っていいでしょう。

そのリテンションレートが、トークン発行後に40%にまで向上しました。eラーニングで40%のDay1リテンションレートは驚異的です。僕はこのとき、将来あらゆるWebサービスにトークンが組み込まれるようになることを確信しました。これが今でいう Web3 なんだと思います。

人類の学習履歴はブロックチェーンで管理するようになる

PoLでeラーニングを運営しつつ、ユーザーの学習データをブロックチェーンに記録する試みにも取り組んできました。

現状の教育現場は、アナログからデジタルへの移行期にあり、あらゆる世代の学習データが俗人的に管理されています。

そのため、例えば小学校でクラス替えが行われ担任の先生が替わると、生徒の細かな学習データは次の先生に引き継がれずに消滅します。都内の小学校であれば、1人の先生が30人の生徒を担当するため、全ての生徒の細かな学習データが引き継がれないのは現実的にしょうがないと言えるでしょう。

これについては、学習データをデジタル化して管理することで引き継ぎ効率は多少改善されると思います。

もっとまずいのは、小学校から中学校、中学校から高校に上がるタイミングです。一貫校ならまだしも、経営が異なる学校に上がる場合には、クラス替えどころではないレベルで生徒の学習データが消滅します。

中学校や高校は、全ての生徒のそれまでの学習データをいちいち継承しないからです。

僕は、この問題をブロックチェーンが解決してくれると信じています。学習データをブロックチェーンで管理することで、小学校や中学校のデータベースに依存しない形で生徒の学習データを管理・継承することができます。

具体的には、学習データそのものは IPFS などの分散型ストレージに格納し、そのハッシュ値をブロックチェーン(イーサリアムなどのパブリックチェーン)に記録します。IPFSへのアクセスキーを生徒自身が管理できるようにすることで、生徒は自らの学習データを任意の範囲で公開することが可能になります。

学習データを自身が管理することは、人生における全ての学習データを確実に残しておくことに繋がります。これは、半永久的に止まることのないデータベースとして機能するブロックチェーンでしか実現できません。

これからの学習は GameFi になる

GameFiは、Game × DeFi の造語です。昨年、Axie Infinity によって爆発的な普及を見せた Play to Earn と GameFi を同じ文脈で使う人がいますが、両者は大きく異なります。

僕の前職の先輩で業界の古参として活躍されている方がいるのですが、その方の定義がとてもしっくりきたので引用させていただくと、界隈で GameFi や Play to Earn などと呼ばれているものは3つに分類できます。

  1. ブロックチェーンゲーム:NFTを活用したゲーム(例:NBA Top Shot)

  2. Play to Earn:NFTや独自トークンを活用した稼ぐことを目的にしたゲーム(例:Axie Infinity)

  3. GameFi:ゲーミフィケーションを取り入れた金融サービス(例:DeFi Kingdom)

今 Web3 の世界で最も多くの資金とユーザーを集めているのが GameFi の領域です(Web3市場全体の約半分)。GameFi はゲームではありません。「金融」と「ゲーミフィケーション」の側面がある全てのサービスを指す言葉だと僕は捉えています。

今後 GameFi は、あらゆる産業に溶け込み全てのサービスを Web3 へと昇華させる可能性を秘めています。僕はこのビッグムーブメントが次に来るのが「Learning(学習)」の領域だと考えています。

Web3 時代の学習には、「金融」と「ゲーミフィケーション」がダイレクトに反映されることになります。ゲーミフィケーションについては、これまでにも数多くのサービスで取り入れられてきたため違和感はないでしょう。

昨今の Play to Earn は、ゲームとしてのおもしろさが不足していることから「Work to Earn」と揶揄される風潮が出てきています。Work to Earn では、文字通り「稼ぐために働く」ことになりこれまでの労働と何ら変わりありません。

Learn to Earnでは、Play to Earn の教訓を活かさなければなりません。そのためには、まず大前提として Learn to Earn が学習サービスとして優れている必要があります。これを実現するために欠かせないのがゲーミフィケーションだと考えています。

Web3 時代の学習では、学習と金融が密接に関係するようになります。それこそが Learn to Earn であり、このあと言及する「Learn and Earn」です。もしかしたら「StudyFi」という言葉で定着するかもしれません。僕らはそのサービスを創っていきます。

Learn to Earn から ”Learn and Earn” へ

Web3では、Play to Earn をはじめとして「〇〇 to Earn」が主流となっています。Play to Earn 以外にも、STEPN のような「Move to Earn(稼ぐために動く)」、それ以外に「Sleep to Earn(稼ぐために寝る)」なども出てきているようです。

これらのトレンドでは、Webサービスが独自のトークンを発行することでトークンエコノミーを構築し、ユーザーに新たな体験を提供しています。Learn to Earn も文字通り、「稼ぐために学ぶ」という傾向が定着しつつあります。

確かに稼ぐために学ぶのは事実ですが、学びというものは必ずしも稼ぎたくて行うものではないと思います。自分の興味があることについて学んでいたら結果的にそれが仕事になるということはよくある話ですし、ただ好きで学んでいるという人も少なくないはずです。

僕は、教育が人生の全てだと思っています。あらゆる物事の根幹にあるのが教育であり学びだと思っています。

にも関わらず、現代教育は古いままアップデートされず、一部の人々だけが最先端の教育機会にアクセスでき、資本主義的にも民主主義的にも格差は広がり続ける一方です。

数年後に訪れるであろう Web3スタンダードの時代には、この状況は必ず変わっていると信じています。僕は、教育・学びにおける Web3 を、Learn to Earn ではなく "Learn and Earn" と定義します。「稼ぐために学ぶ」のではなく、「学ぶと同時に稼げてしまう」という状態です。

稼ぐという言葉は日本人的にはあまり良いイメージがないと思うので言い換えると、それは「選択肢を増やす」ということだと思います。

Learn and Earn で実現できることは、常に最新の教育環境にアクセスできる状態です。Learn と同時に Earn ができることで、例えば1度目の Learn で Earn した資金を使って2度目の Learn にアクセスし、それを何度も繰り返すことができます。

つまり、Learn によって Earn した資金は、引き出して生活費にすることも可能である一方で、更なる Learn の機会にアクセスするために使用することも可能だということです。

Learn と Earn を同時に実現することで教育格差を埋めることができます

現代教育は、生まれ育った環境による影響を受け過ぎています。日本のような先進国の人々には実感しにくいことですが、日本にも教育格差は存在します。当然、世界には十分な教育機会を享受できない人々が数多く存在しています。

Learn and Earn は、外的要因によって大部分が左右されてしまう教育格差を、自力で埋めることができる唯一の手段になると考えています。

インターネットさえあれば世界中の誰もが平等に教育機会にアクセスできるようになり、フラットな状態でスタートラインに立ち、自分の努力次第で選択肢を増やすことができるのです。

Web3や教育・学びに興味のある方へ

教育・学びは Web3 で間違いなく良いものにできます。Web3 という言葉はバズワード化していますが、その技術や仕組みにまやかしはありません。

Learn and Earn で新しい社会を創りにいくために、今まさにイチから Web3 プロダクトを立ち上げています。Web3 やりたい方、学びの領域で事業に取り組みたい方、ぜひ一緒にスタートアップやりましょう!

Web3 気になるけど全張りするのはリスクあるという方、気持ちとてもわかるので副業スタート大歓迎です。下記をご覧いただき、ぜひ気軽にメッセージお待ちしています!間違いなく、熱狂できる体験を約束します。

今後の調達について

日本における Web3 スタートアップへの投資は非常にハードルが高いものになっています。JDA の Web3部会で法改正に取り組んでいますが、すぐに実現できるものではありません。

しかし、完全にできないわけではないのもまた事実です。今回の資金調達は全て海外で行いましたが、今後は国内での調達も行っていきたいと考えています。

なぜなら、学びの領域はドメスティックである必要があるからです。海外の教育サービスが国内で圧倒的なシェアを獲れないのは、定量化できない文化的・言語的な要因があるからだと考えています。また、自国の教育環境を海外サービスに依存させることのリスクもあると思います。

すでに次のラウンドに向けて動き始めています。ぜひ一緒に Web3 に張っていける方に仲間になっていただきたいです。規制がハードルになるのであれば、一緒に乗り越えていく道を探したいです。

個人・法人を問わず、本気で張れる方とぜひ一度お話できればと思います。Twitter や Facebook の DM を開けています。Facebook で共通の知人がいらっしゃる場合はその方経由ですとご返信しやすいです。

他にも、「この人とは繋がっておいた方がいい」という方がいましたらぜひご紹介ください。最前線の現場でインナーサークルで、Web3 を体験したいという方も歓迎です。とにかくみんなで最先端を走りたいです。一緒に未来を創りましょう!

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