シンポジウム「最新研究で解き明かす 松尾大社史料の魅力」

先日、京都文化博物館の別館で特別展のイベントとして、シンポジウム「最新研究で解き明かす 松尾大社史料の魅力」が開催されました。200人の定員のところ、事前に定員となったとのこと、ご登壇下さった友人の皆様、そしてお越し頂いた皆様、誠にありがとうございました。

シンポジウムについてですが、開催することが展示準備段階で決まっており、どのような内容にするか思案しておりました。個人的な調査からはじまって、東京大学史料編纂所の共同研究や科研で調査・研究させていただいており、内容に統一性を持たすことが難しい。多岐にわたった成果をどのようにすればよいかと悩みました。登壇者の皆さんと議論を進めて「最新研究で解き明かす 松尾大社史料の魅力」というタイトルにしました。

全体的なところで私からは松尾大社史料群がどのように遺ってきたのか。まだまだ明らかにされていない伝来経路について、社家の分裂などを含めてまとてみました。渋谷さんから科研・共同研究でなされている料紙分析で分かること、みてえくるものなどについてお話いただきました。

特に学会でのシンポとは異なり、一般の方々、また氏子の方々も多くお越しになるだろうと考えまして、身近なテーマを取り上げられないかと考え個別具体論は、「神社とお酒とのつながり」「祭礼を支える所領」「松尾祭のこと」を天野さん・石井さん・佐々木さんにお願いしました。前近代、特に中世において「神事の役」と「所領」がどのように賦課されるのか。朝廷や幕府の認識と、争う寺(今回の話でいえば東寺)の認識、そして神社側の認識というのが異なっているのかもと思っています。

松尾祭については、神職の方や氏子の方からよくお尋ねいただいていましたが、その答えを佐々木さんにして頂いたところです。神職の神事に関わるところが史料として遺されている以上、都市民が中心となっている祭礼は遺されていない。あくまで神社史料にとっても外部の祭礼なんだろうなと思います。

噛めば噛むほど味わいのある史料群をババーンと展示できているのが、今回の「松尾大社展」であります。京都文化博物館の会期は来週までとなっていますので、更に多くの方にお越し頂ければと思っています。

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