R25_-_コピー

「R25」が大幅リニューアルしたので、雑感をまとめました

フリーマガジン「R25」が創刊10年を期に大幅にリニューアルしました。

数年前まで在籍していた会社のことですし、自分の仕事人生に大きな影響を与えてくれたメディアのことですから、まあ気になります。リニューアルに至る内部事情は全く知らないので、いろいろと想像を巡らせながら、気づいたことや思ったことを書いてみます。


(1) 表紙からR25くんが消えた

これまでの、イラストとインデックス中心から、写真全面の表紙へ(もしかしたら表紙は写真固定ではなく、様々なビジュアルパターンがあるかもしれませんね)。

そして気づきました。

「表紙にR25くんがいない」と。

「R25」と言えば、創刊以来、寄藤文平さんが描くキャラクターが大きなアイコンとして存在していました。季節や特集、時にクライアントに合わせて、見事に変化(へんげ)する「R25くん」。彼が発する共感を誘ったり、激励したりするフキダシのセリフに心のなかで膝を打っていたものです。

前述の通り、表紙のビジュアルが写真オンリーではないかもしれません。個人的には、R25くんの復活を願いたいところです(表紙以外やWeb R25には引き続き登場しているようですね)。


(2) 特集主義へ

キャラクターR25くんと並んで同誌の名物だったのが「ランキンレビュー」。世の中の素朴な疑問から、ちょっとニッチ(エッチ)な情報まで、ランキングと約800文字の文章でまとめるコラムです。

号あたり15本くらい(?)掲載されていたランキンレビューが、リニューアル号では姿を消しました。

そして、誌面は特集主義へ。リニューアル号の誌面の半分近く(14P)を特集が占めました(残りは連載やインタビュー)。テーマは「30オトコの10年後 どうなる?どうする?」。30歳の男性が今後10年間、どのような人生を歩むのか、ライフイベントやカラダの変化、世の中の変化、著名人のインタビュー等で構成されています。

看板企画を外す。これは大きな決断だったと思います。

“デジタル or 紙”から“デジタル and 紙”への路線転換とも感じました。「R25」という一つの名のもと、デジタルと紙で出すコンテンツを整理しよう、という動きともとれます。短文コラム系の記事はPC・スマホ等で、複数の企画が連なる長尺の特集ものは紙で読んでもらうということなのだと思います。とは言いつつ、特集記事は分解、再構成されWebにも転載されていますので、紙に出すコンテンツを最適化したといったほうが正しいかもしれません。


(3) ターゲットの絞り込み

メディアのキャッチが「30オトコの人生探求マガジン」となりました。創刊時は「オトコを刺激する情報マガジン」で、その後、マイナーチェンジを数回(?)していましたが、やはりこちらも大転換です。

ポイントは「30オトコ」とターゲットを絞り込んだこと。そもそも「R25」という誌名が表す通り、25歳以上のM1層ビジネスマンを対象としていました。それが「30オトコ」に。学生も女性も、おじさんも読んでいた情報誌で、特に読者層の高齢化が課題の「R25」でしたから、この展開は当然のことかもしれません。

特集主義、ターゲットの絞り込み、そして「人生探求」というキャッチコピー。「BRUTUS」「POPEYE」などにグッと近づいていくのか? という気もしてきます。

あれ? となると…、部数減らす?

と思い、運営元のメディアシェイカーズのサイトに媒体資料を見にいったら、

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(リニューアル前)1都3県+大阪+名古屋・55万部

(リニューアル後)1都3県・25万部
http://mediashakers.co.jp/wp-content/uploads/2014/05/R25%E5%AA%92%E4%BD%93%E8%B3%87%E6%96%99_201407.pdf
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とありました。広告単価も改定されているようです。

数字だけを見ればスペックダウンです。今回加えられた多くの変更が、コスト面との戦いの産物があることも想像に難くありません。販売収入のないフリーマガジンが、なるべく広告単価を落とさずにコストダウンする、そのためのボリュームダウンする方法として、特集主義、ターゲットの絞り込みを選択するのはまっとうな戦略かと。

これは、運営に関わるみなさんの、メディアを出し続けるという意志であり、覚悟だと思います。


(4) 広告媒体としての価値

とはいえ、リニューアル号を見るに、広告の集稿は非常に苦戦している様子。

媒体資料によると、読者像は次のように設定されています。

“30歳。東京の上場企業勤務のビジネスマン。年収650万円。未婚だが、3年付き合っている彼女あり。品川区にひとり暮らし中”

年収が結構高めですね。結婚したら世帯年収は1000万円を超えそうです。それなりにお金に自由が効く層を、メインターゲットに置くことで出稿を狙っているということでしょうか。ハマればよさそうですが、ライバルも多そうです。

でも、どうなんだろう。もはや、紙だけを単独で売ることは目指していないのかもしれません。

リニューアルとほぼ時を同じくして、メディアシェイカーズは「30オトコを応援するプロジェクト」としてTHINK30(http://www.think30.jp/)を立ち上げました。30オトコのマーケット分析、30オトコ向けの商品開発等を担うプロジェクトのようですが、「R25」の運営に関わるメンバーも参加しています。

何らかのプロジェクトをクライアントと共同で立ち上げ、その告知や盛り上げの場としてメディア「R25」を使っていくようなこともあるかもしれません。

社会人向けの通信教材を、どこかの会社と一緒に開発・販売することもできるかもしれません。まずは誌面で「大人になりきれない人のための素人ライフプラン講座」みたいな連載企画を立ち上げ、それをもとにマーケティングを行い、「お金のことをゼロから学べる講座」といった商品を開発、その売り上げをクライアントとシェアする。例えばこんな感じ。


(5) 世代をターゲットとするメディアの強み

大幅なリニューアルをしたものの、「R25」の強みは以前と変わらず、“ターゲットとなる読者を一番分かっている”ことだと思います。どんな企業よりも、30オトコの知りたいこと、くすぐったいところ、泣きどころ、お金の払いどころを熟知し、それを誌面の編集や広告の制作、コンサルティングに結びつける。それができるチームだと、僕は思います。


なんだか長くなっちゃいましたが、変化を推し進めるみなさんに刺激を受けつつ、自分もより一層がんばらにゃと思った次第。ひとまずリニューアルおめでとうございます!これからの「R25」、楽しみにしています。


【リニューアル号はこちらでも読めます】
http://r25.jp/honshi/archive/20140717/index.html


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