紅葉は落ち葉までが美しく 人は倒れ様までが美しい
紅葉、きれいですよね
でも、美しい写真の紅葉は、水面に反射したり、
落ち葉が敷き詰められていたりして
立ち姿だけでなく、その様がを含めて美しいと
思うのです
では、人はどうなんだろう…
というお話です
桜の花は…
想像してください
目の前には綺麗な桜の木があります
あなたは桜の花を見上げます
ああ きれいだ
一陣の風が花を散らします
桜の花びらがひらひらと
あなたの周りを舞踊りながら落ちていきます
ああなんて綺麗なんだろう
その夜雨が降り翌日あなたはもう一度
桜の木のそばに来ました
地面には濡れてしなびた桜の花が
そこかしこに落ちています
この花びらたちは綺麗だと思うでしょうか
この桜の木を撮る写真家は
濡れそぼったこの花びらを
桜の木の写真に写し込むでしょうか
そういった写真はあまり見たことがありません
桜の花は真っ白でまたももいろで
風に揺られる姿が綺麗なのだと思います
夏の葉は
今度は夏の青々と茂る木を思い浮かべてみます
夏のむせ返るような暑い日の中
そこにただ立っている緑の木
時折吹く爽やかな風にその葉をその枝を揺られながら
そこにただ立っている緑の木
堂々としたその木の佇まい
青い空を背景としてどっしりとしたその木の佇まい
春の桜とはまた違った美しさがそこにはあります
落ち葉はほとんど見られず、地面に目を向ける人は
少ないのではないでしょうか
ときおり落ちる花びらは、
やはり木とは切り離されて認識されるようです
秋の葉は
今度は秋の葉を思い浮かべてみましょう
寒い冬の風にゆられ
秋の葉は黄色や赤に染まっています
一陣の風がその葉を揺らして
赤や黄色の葉が落ちていきます
やがて地面や 湖や水たまり
そういったところに
思い思いに散らばった色づいた葉が
その落ちてきた木とともに
あたりを艶やかに初めていきます
その夜雨が降り
翌日あなたは同じ木のもとを訪れます
そこには濡れそぼってしなびた落ち葉が
その色をますます濃くして
そこにただ落ちています
見上げた木はだんだんと葉がなくなり
逆さに立てた箒のように
寂しい姿を見せています
ああ 美しい
散りゆく様も儚さも
その風景全てが美しい
紅葉のこの独特の美しさは
いったい なんなのでしょうか
人の色付き 枯れゆく様
人にも同じことが言えるのでしょうか
輝かしい時はその人だけが輝いて見えます
雄々しいさまは 青空が似合います
うなだれ傷ついた様には涙が似合います
くたびれや倒れた時には
散らかった床なども
その人の景色の一つになります
この違いは何なのでしょうか
散りゆく様の美しさは
枯れゆく様の美しさは
去りゆく様の美しさは
人も木なのでしょうか
人も花であり
また落ち葉でもあるのでしょうか
できれば綺麗に色付きたい
できれば綺麗な落ち葉でありたい
去り際に色づくように
今を精一杯生きる
今青々と茂る
そんな私でありたいですね
ではまた、次のつぶやきで
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