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現地参戦メンバーによるセミフファイナルレポートvol.2

こんにちは森山です。

今回も3人の現地レポーターがリレー形式で書くということで、午後の部の最初の2人嘉屋 翔太さん、鈴木 愛美さんの演奏についてレポートします!

午前の3人については、もちさんのレポートをどうそ!

嘉屋 翔太さん

ハイドン/ピアノソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:52
片山柊/内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano(邦人新曲課題)
リスト/忘れられたワルツ 第1番 S.215/1
メンデルスゾーン/無言歌集 より ト短調 Op.53-3
メンデルスゾーン/無言歌集 より 変ロ長調 Op.85-6
ブラームス/ピアノソナタ第1番 ハ長調 Op.1

わたしのなかでは嘉屋さんはこの演奏を聴いてからずっと「ハイドンが上手い人」というイメージでした。この度その念願のハイドンのソナタを、曲違いとはいえ、セミファイナルで聴ける!と分かってからとても楽しみにしていました。

今回のソナタHob.XVI:52は第一楽章を疾走感と華やかさで彩り、第二楽章は一音一音を大切にふみしめて木漏れ日の中を歩いているような演奏。そして第三楽章は華やかさが根底には在りつつも、聴いているうちに音の奔流を絶えず浴び続けているような気分を味わいました。

新曲課題の「内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano」は、重低音をこれでもかと響かせるような演奏で、それに対して高音部分は、ただそこで静かに存在している。そしてその存在が絶えず印象に残り、より低音が存在感を放つ。そんな演奏に聴こえました。

ハイドンのソナタと同じく軽やかさを感じつつ、さらに複雑な印象を受けたリストの忘れられたワルツから、ほとんど間をおかずに絶えず迫り来るように入ったメンデルスゾーンの無言歌集、2曲目は楽しく跳ね回っているような曲ですが常に要所では重しが乗っているようで、どこか安心感を覚えました。

最後のブラームスのソナタは、全楽章通して盛り上がる箇所は情熱が強く表出されていましたが、時折現れる小さな音で構成されている旋律や、流麗な曲調も自然に挿入されおり、下のインタビューの内容(5分12秒あたりから)を思い出した私はこう思いました。「これが技術力っていうこと!?」

鈴木 愛美さん

片山柊/内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano(邦人新曲課題)
ハイドン/ピアノソナタ ト長調 Hob.XVI:6
シューベルト/ピアノソナタ第18番 ト長調 D.894 「幻想」
シマノフスキ/メトープ Op.29 より 第3曲「ナウシカー」

最初に演奏された新曲課題の「内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano」は、透明感のある和音、激しい低音の続く箇所ですら漂う静けさのようなものが印象的だったのですが、この独特の空気感はプログラム全体で一貫して感じられました。

前の曲で鈴木さんの世界に引き込まれた後、ハイドンのソナタでは、第一楽章の華やかさや軽やかさ、第三楽章では濃密な哀愁感が印象的でした。しかし、それ以上に前の曲とどこか重なる空気感を常に味わっていて、これからどこに導かれるのだろうかと不思議な気持ちになっていました。

シューベルトのソナタは、第一楽章から第四楽章までの間に、ひたひたと迫ってくるような美しい和音や音の連なり、悲劇的な激情や悲しみ、明るさ、繊細さ、情熱などを一つ一つ大切に読み解いていくような演奏でした。その説得力によって後から気がついたことなのですが、徐々に現実世界から幻想的な世界に抵抗なく、隅々まで味わうことが出来ました。

上述のことに気がついたのが、シマノフスキの「ナウシカー」に入った時で、演奏が始まったその瞬間から、不思議な自然がいっぱいの世界に誘われ、曲の中で色々な生き物に出会ったり、美しい景色をみたりという不思議な体験をしました。もし今二次予選を聴いていた瞬間に戻ることができたなら、「セイレーンの島」でも当時とは全く違う体験がきっと出来たのだと思います。

下のインタビューでお話ししていましたが、ずっとセミファイナルのシューベルトのソナタとセットで弾きたいと思っていたというベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。念願叶って弾くことになるファイナルが今からとても楽しみです!

おわりに

これまでも実はとても緊張しながら演奏を聴いていたのですが、セミファイナルともなると、これまでとは全く異なる緊張感を味わっていました。
その中でも沢山の曲、演奏に出会えたそのよろこびを少しでもお伝え、共有できていたら幸いです。

(写真提供:ピティナ)
ピティナ特級Webサイト https://compe.piano.or.jp/event/tokkyu/index.html

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