インスタでヒットを広げる方法

世の中にないものを生み出す

私が代表を務める会社「ケースオクロック」は、「ニュートレンドを世の中に提供し続け、時を刻む企業」を理念として、ハンドスピナーやWAYLLYなど、新たなトレンドを生み出しそうなプロダクトを制作・リリースしています。

今回のWAYLLYを作るきっかけになったのも、「これまでにないスマホケースを求めた結果」でした。というのも、これまでのスマホケースはただおしゃれなデザインを追求するばかりで、新しい「機能」を搭載したケースは皆無だったからです。

スマホケースには、もっと面白くて便利な機能を加えることができるはず……そう思って、これまでにない「いまの時代に必要とされる機能」を搭載したスマホケースを開発しました。

それが「WAYLLY」です。


WAYLLYは、あらゆるものに「くっつく」という機能を持ったこれまでにないスマホケースでした。「ナノサクション」という、ナノレベルの吸盤をスマホケースに掛け合わせ、「くっつくスマホケース」が実現したのです。

とはいえ、パッと見は、スマホケースにナノサクションが加工されているだけの、単なる黒色の無地のケース。これだけだと、他のスマホケースと比べても「壁にくっつく」しか違いがなく、インパクトは今ひとつ……。ヒット商品を生み出すには、プラスアルファが絶対に必要です。

「くっつくケース」という機能を活かしつつも、おしゃれなデザインケースを作れないだろうか。そう考えて、背面部分に搭載したナノサクション部分の色を青色の素材にしたり、オレンジ色の素材にしたり、ケースの外枠の色味をピンクにしたり青にしたりしたがイマイチ……。

試行錯誤を繰り返した結果、ナノサクションに特殊な加工を施す(すみません、 ここは企業秘密です)ことで、 繊細なナノサクション部分を壊す事なく、 絵柄を表現することができるようになりました。


3つの「仕掛け」
1.最新の手法を用いた「商品ローンチ」

さて、世界に一つのいいものができても、知ってもらわなければ意味がありません。WAYLLYのヒットの最大の秘密は、実はPR戦略にあったのです。

これまでにも、数多くのスマホケースが世に出されてきました。ところがスマホケース業界において、新商品をリリースする時は、プレスリリース媒体で告知をするくらい。これでは、知ってもらうのを「待つ」しかありません。

それではヒットは作れません。では、どうすればいいか。

WAYLLYは、商品ローンチの手段として、 クラウドファウンディングを活用しました。2017年7月にTSUTAYAグループが運営しているクラウドファウンディング「グリーンファウンディング」に、WAYLLYやWAYLLYの付属品の開発費・ 製造費の資金調達のために、 クラウドファウンディングを利用したのです。

とはいえ、資金調達が狙いだった訳ではありません。PR効果を期待したのです。というのも、クラウドファウンディングを行うと、「新しいモノを常に探しているメディアから声がかかる事がある」という話を聞いていたからです。それならば、とPRも兼ねて約45日間のクラウドファウンディングを行いました。

この狙いが見事に当たり、クラウドファウンディング中から、WEBメディア5媒体、3つの本・雑誌の取材を受け、かつ全国300店舗以上展開している大手量販店からWAYLLY販売契約の話が決まるなど、取材依頼が殺到したのです。

商品が実際に発売される前から、すでにメディア掲載もあり、大手量販店での流通が決まる……クラウドファウンディングを活用した事前PRがうまくいったのです。


2.徹底したSNSマーケティング

ヒットの秘密はそれだけではありません。

WAYLLYのメインターゲット層として考えていたのは、いわゆるインスタ映えを意識しているC2層(10代)の女の子達でした。彼女たちにこの商品を知ってもらえなければ、意味がありません。

では、私達がどのようにして、彼女たちにリーチしていったのか……?

実は、インスタグラムを使い、商品提供を行うことで「WAYLLY」そのものの認知を広めて行ったのです。

インスタグラムの広告戦略といえば、「インスタグラマーに商品を提供し、広告費を払って投稿をしてもらう方法」が一般的です。ですが、WAYLLYは、インスタグラマーに広告費を払うようなことは一切やってもらっておりません。

なのに「WAYLLY」は、インスタグラマーから、「一度、使ってみたい!」というオファーが殺到したのです。

その理由は「彼女たちが思わず商品を使ってみたくなる」インスタグラムの運用方法にありました。スマホケースを売るために、スマホケースそのもの写真を投稿をする「商品紹介アカウント」ではなく、「スマホケースはあくまでもおまけ。世界観を共感してもらうためのインスタグラム」として、ウェイリーのインスタを運用したのです。

では、どのようにしてインスタグラマーに共感してもらえる世界観を作りあげることができたのか? その秘密は彼女たちとの「協業」にあります。

WAYLLYの正式リリース前に、インスタグラマーさんにWAYLLYの企画会議への参加を呼びかけ、インスタの最前線で活動をしている彼女たちと「どうすればWAYLLYが広まるか」といった、商品企画・デザイン案などをゼロから考えていった……すなわち協業です。

インスタグラマーさんと二人三脚の活動を行っていくと、会議に参加してくれたインスタグラマーさんが「もっとWAYLLYの魅力を広めたい!」と愛着をもつようになってくれました。すると、インスタグラマーさんがお友達にWAYLLYの魅力を伝えてくれるようになったりと、口コミを通じて、自然とインスタグラム上でWAYLLYが話題になっていたのです。

一般販売開始の2017年9月までに、 100人以上のインスタグラマーにWAYLLYを利用してもらい、投稿してもらうことができました。その結果、 流行感度が高い女の子の中で、「SNS映えするおしゃれな商品」 としてWAYLLYが世に知れ渡ったのです。

結果、一般販売開始後すぐに、「今SNSで話題になっている商品」 として、テレビの取材が殺到しました。このテレビでの特集がきっかけとなり、今度はさらにインスタグラム上でも話題沸騰……!と、好循環が生まれ、販売開始からたった半年で、リアル店舗での取扱店舗数も1000店舗を突破。現在もなお、取扱店舗数は右肩上がりとなっています。

この戦略のミソは、広告費が「0円」であることです。 インフルエンサーに商品を利用してもらうことでWAYLLYの魅 力を広告費「0円」で広める事ができました。このような、 インスタグラムを中心とした、SNSでの徹底した広報活動こそ、 成功の2つ目のカギでした。


3.利用シーンがひと目でわかる「動画」を用意したこと。


さて、3つ目のヒットの理由は、「その商品を使いたくなるような、便利さが分かる動画」をあらかじめ用意しておいたことです。

WAYLLYは、一見普通のスマホケースです。スマホケースに「くっつく」という新しい機能があっても、静止画だけでは伝わりづらい。そこで、利用シーンなどをわかりやすくまとめた動画を作成して、先のクラウドファウンディングのページに掲載したり、インスタグラマーにダイレクトメッセージを送るその文中に動画のリンクも貼り付け、パッと見てWAYLLYの便利さが伝わる動画を用意しました。

それがこの動画です。


これをみれば、WAYLLYがインスタ映えするアイテムであり、トレンドの商品であるということが一目でわかります。たった3分の動画さえ見てもらえれば、WAYLLYの特徴を理解してもらい、更に「欲しい!」と感じてもらえる演出をできる……これこそ、インスタグラマーに「ほしい!」と思わせたポイントです。

忙しい彼女達にとって、短い時間で商品の特性を知ってもらい、パッと見で自分たちに必要な商品かどうか判断してもらえないといけません。3分で商品の魅力を理解してもらえる、この動画は必須だったのです。

(ちなみに、WAYLLYがテレビで紹介される際には、ほぼ必ずこの動画が使われます。メディア向けの「素材」としても機能していたのです。)

ここまでお話をした3つの要素が相乗効果を生み、よいスピード感をもって流通網を拡大し、ネットでも話題の商品として多数取り上げられました。結果、ブランド、ライセンス・コラボ依頼などが毎日のように殺到しています。


リアル店舗(BtoB)展開も、1,000店舗を超える店舗様に取り扱って頂いていますが、なかでも大きなきっかけとなったのは、2017年9月と2018年2月に東京ビッグサイトで開催されたインターナショナルギフトショー、いわゆる展示会です。

WAYLLYを出展すると、「インスタグラムで話題になっているアイテム」として各バイヤーから注目を集め、取引先がバシバシ決まる確変モードに突入。「1日も早く取り扱いたい」「いつになったら店頭に並べることができるのか?」といった声をいただき、連日取扱店舗様が増えていっております。

すべての商品において、今回紹介したようなマーケティング手法が通用するかというと、そうとはいえません。それでも、「広告費ゼロ円のマーケティング」方法があることは、少しは参考にしていただけるのではないでしょうか。

これまで、WAYLLYは「インスタ文化のための商品」としてのイメージを発信してきました。これからは、インスタ映えのためのアイテムではなく、10代以外にも広まるような工夫とマーケティングを行っていきたいと思っています。そのアイデアはすでにありますが、またWAYLLYがさらに広く認知され始めたときに、その秘密を明かしたいと思います。


(参照: https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56680 )


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?