藤田嗣治「異邦人」の生涯を読んで

大好きな一冊になりました。藤田嗣治さん、大好きです。

無条件に海外が好きで憧れていて、プライドがあって承認欲求が強いところが自分によく似ています。海外の芸術を尊敬していて、それからくる野心もとても好きで共感できます。ちょっと目立ちたがり屋なのに本当はシャイな部分や他人に対して優しいところも共感できました。日本のやり方にちょっと納得できないところも強く共感できました。国境を超えて「美術人」と言いたいという心も分かります。

この一冊は私にとっても一つのバイブルになりそうです。ある意味でお手本にしながら私も海外で頑張ってみたいと思いました。

特に前半で興味を引くために奇抜な格好をしてピカソやマティスに近づいて行く社交界に何とか入って行く姿を尊敬しました。まずはそういうグループに入らなければいけませんね。レオナール藤田の絵は世界に出しても恥ずかしくないと小さい頃からずっと思っていたけれど、やっぱりそういう風に自分で死に物狂いで勇気を出し尽くした結果がこれでしょうね。ちょっと恥ずかしがったり型にはまろうとせずに行動し続けたのでしょう。

「出る杭は打たれる」と言いますが、レオナール藤田さんはまさに日本ではその扱いでしたね。後半部分ではいかに藤田さんが日本の美術界の人に嫉妬されていたかを読み取ることができました。とにかく、うまいのです。そういう人はうまくない人に嫉妬されて文句を言い続けられます。

私が思うに「自分を世界で最高の画家だ」とか言ったのが、日本であまり好かれなかった原因かなと思います。確かに自分で自分を自慢する人はちょっと怖いです。「お前はちゃんとした人生を送れていない」と言われているように聞こえる人もいるでしょう。既にものすごく技術も努力もセンスもあるのだから自分からは自慢せずにやればもう少し日本からの評判も良くなったのではないでしょうか。日本は技術や腕前や人柄を無視して態度だけで人を判断するところがあります。

私は藤田さんのことをレオナール藤田とずっと呼んでいましたが、それは教会から洗礼を受けた70歳以降から名前を変えたのだからそうなったことを知りました。ずっと作品を作る際の芸名だと思っていました。レオナール藤田って日系人なのかな?と思ったりしました。名前のちょっとミステリアスな部分がさらに良い効果を出していたように思います。

藤田さんの絵はやっぱり美術館で見ても日本人が描いた絵というより外国人が描いた絵のようですごく個性があって他の作品に見劣りしません。好きです。当たり前ですが、独特の個性があります。真似ではなく「レオナール藤田の絵」です。

少し繊細な部分もあった人だと思いますが、私はレオナール藤田さんが大好きです。一生懸命自分の信じる道を生きる姿は健気であるし、その絵はものすごく素敵です。バイブルにしたいです!

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