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戦火の合コン

これは、フィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

567騒動で、心身ともに疲弊していた。身近な人に騒動の真意やワクワクの事を言っても、理解されない。

きんきゅうじたいせんげんが無い期間があった。しばらく会えなかった友人に、ご飯に行かないかと連絡。すると『こんな時期に外食するなんて信じられない。かかったらどうするの。そうなれば会社や家族に迷惑がかかる。何を考えているのか!』と怒り半分の返信が来た。落ち込んだ。

そんな中、丁度ある合コンの通知が来た。きんきゅう~が無い間は、開催するという。567騒動ってある意味戦時中らしい。70年以上前の戦時中、母親の手作りカラフル毛糸パンツをはいてた婦女子が、憲兵に『派手な色のをはきおって!』と殴打された事もあったとか。こんな戦時下、合コンに参加するか迷う私なら、どういう目に合わされるのか…。うーむ、何かしんどいし、行ってもしょうがないか…。

…いや待てよ。こんな時期だからこそ、合コンに来られる勇者と意気投合出来るかもしれない。話が合うかもしれない。よし!参加してみよう!!

当日、いつもより全体的な合計人数を減らされたという会場に着く。受付で組み立てフェイスシールドを渡される。自分でフェイスシールドとゴーグルを組み立て、装着しなければならない。なんじゃこりゃ。組み立て方が分からない!そして持参のマスクも併用しなければならない…焦る。ようやく装着するが、すぐ自分の息でシールドが曇って周囲が見えづらくなる。曇ってると、鼻息荒そうとか思われないか。周りをクリアに見るには、息を止めるしか無い…。

スタートしたが、相手方の顔が分かりにくい。何より、正面で向き合えないルールだ。飛沫云々…。喋っても、お互い『え?聞こえないです、もう一度お願いします…。』という会話が多発。自分の声量が相手にどれだけ届いてるのかも分からない。

間抜けな合コンだ。お互い目の前にいるのに、顔も声も分かりづらい。せめてシールドかマスクのどちらか装着でOK!、というわけにはいかないのか…と悶々とする。清楚なアタクシ演出出来ない…自分アピール出来ない!本当に一体、何をしに来たのか。

そんな中…あれ?見た事ある人がいる。部署は違うが、同じ会社の人がいる!社内研修で見たぞ!567騒動で、会社自体が行動自粛の雰囲気なのに。猛者だ、いや…同類か。相手は『どこかで会ってます?』と不思議そうな顔つきをする。『部署は違いますけど…』と私は顔を歪めた。どうせマスクとシールドでハッキリ表情は分からないはずだ。そして相手は私に異性として興味無さそう…私だって興味無いわい!(言い訳)。

結果は惨憺たるものだった。

だが結果とは裏腹に、収穫もあった。567騒動の中でも合コンに来る人もいるんだ!しかも同じ会社の人もいた(脈全く無かったけど)!

567をさほど気にしない人が身近にいたのだ!

相手が見つからなかった合コン。戦火の合コン!!

だかしかし…それ以上に、肩の力が抜けていく自分がいた。567騒動で、かなり思い詰めていたから。

事の有り様を地元の友人に話す。大笑いされた。一人の人間の笑いを取れただけでも良しとした。​



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