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中古自動車販売業者の闇

 現在、ビッグモーターによる不正受給疑惑が問題となり、中古自動車販売業者全体に影響が及んでいる。

状況は少し違うけど、中古自動車販売業者の闇というか、ぼくが経験したことを書く。

今から20年以上前、国道沿いにあったその店は、常に多数の中古車が展示されており、結構な規模の業者だったと思う。

当時ぼくはイプサムという車が欲しくて、チラシを見て隣の県まで買いに行ったのだが、家を出る前に確認したにも関わらず着いたら既に売約済みとなっていた。

その帰りに寄ったのがこの中古自動車販売店だった。

気の弱いぼくは、相手の事情などお構いなしに平気で値切り交渉する父親を連れてきていた。ぼくだけでは言い値で買わされることは間違いなかったから。

店の人にイプサムを探してると伝えると、イプサムはないが今日入荷したCR-Vがお買い得だと勧めて来た。

まあ、見るだけならと勧められるままに運転席に座った。すると店の人も助手席に乗り込み、勢いよくドアを閉めた。いきなり知らないおっさんと車内に二人きりになるのは結構な恐怖だった。

店の人は、グイッとぼくに近寄ると、耳元で

「これに決めちゃいな」

と囁いてきた。なんか有無を言わさない奇妙な迫力があった。こんな時父がそばにいれば、きっと断っただろう。店の人もそれに気が付いてぼくと父を離したに違いない。その目論見通り、ぼくは「はい」と返事をしていた。

契約書に必要事項を書いていたら、売却金額に6万円が加算されていた。

この6万円は何かと訊いたら、修理代だという。
この店では、販売価格に一律6万円を上乗せしてるという。仕入れた中古車は必ず修理が必要で、その修理代も様々だ。かといって一台一台見積もりしていては時間と手間ばかりかかるので一律6万円にしているという。
だったら、最初から表示価格に6万円上乗せして表示すべきだろと思ったけど、気の弱いぼくは「へーそうなんですかー」と言うだけだった。

車自体は満足だったけど、当時は金利も高く、5年ローンでかなりの金額を払った記憶がある。これなら新車で買っても変わらなかったかもしれない。

問題はこの後起こった。結婚し、妻と車を共用することになって、運転の苦手な妻はもっと小さい車にしてほしいと言ってきた。

既に走行距離は12万キロとなっていたため、買い換えることにし、CR-Vを下取りに出した。

ところが、驚いたことにローンを払い終わってだいぶ経つというのに、車の名義が購入した中古自動車販売店のままだったのだ。このままでは、下取りに出せない。ぼくはこの中古自動車販売店に電話をかけた。

電話に出たのは聞いたことのない会社だった。聞けば中古自動車販売店はとっくに倒産していて電話の相手はその整理を請け負った会社だという。

ぼくが事情を話すと、

「そうですか。では名義変更の手数料として5万円いただきます」

耳を疑った。そもそも悪いのはローンの支払いが終わっても名義変更しなかった倒産した会社じゃないか。なのに、なぜこちらが5万円も支払わなきゃならないのか?

文句を言っても、5万円払わなきゃ名義変更には応じられないの一点張りだったので、ふざけんな!と言って電話を切った。

結局、下取りに出した中古自動車販売業者が上手くやってくれたので無料で名義変更できたけど、今考えると整理を請け負った会社も最初の中古自動車販売業者も反社だったのではないかと疑っている。



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