見出し画像

Merry-go-round round(メリーゴーランド ラウンド)

いつまで どこまで 回り続けるのだろう。

目まぐるしく 遊園地みたいな人生で 起こってきた出来事が また 頭を回り続けていた。

「…おいで。」

少しだけ強めに 引き寄せた。

君が 想い描くメリーゴーランドのデザインが 知りたかった。

ペガサスを模したデザインで ありたいなんて 高望みなのだろうか。

子供用の 小さなメリーゴーランドみたいに 頼りないと 思われているのかな。

散った銀杏の葉が シャカシャカと 耳触りのいい マラカスを 振っているみたいなリズムを 生み出している。

「…何も 言わないの?」

秋の終わりが 近付く空気に 溶けていくだけにはしたくなくて。

「花から 水分 抜けちゃったら 枯れちゃうでしょ? 今は 泣いて 出なくなったら 二人で 水分補給しよっか。」

言葉が 欲しいんじゃない。

ここに 大切にしたい花が 咲いているなら。

俺が できることは 太陽になって 照らして。

川になって 水を確保して。

土になって 栄養たっぷりの土壌を 作り上げて。

花を 様々な角度から 支えること。

「シンジって たまに よく分からないこと 言うよね?笑」

皮肉を 言われたことなんて どうでもいい。

花は 笑った。

「でも 笑ってるから よし!笑」

チアキは いつも こんな風に 傍で 栄養をくれるシンジが 大好きで。

信じていた友達と 離れてしまった時。

どうすればいいのか 頭を 抱えて 公園のベンチに 座っていたチアキに 何も言わずに 近くのカフェで 買ってきてくれたキャラメルラテを 差し出してくれたのが シンジだった。

「あれ? 嫌いだったかな?」

今と 同じだ。

変わらない笑顔は チアキの心を いつでも キャラメルラテよりも 温かくしてくれた。

出会ったのも 秋の終わりが 近付いた 今に 似ていた。

1番 驚いたのは チアキが キャラメルを 好きなことを 知らないはずなのに 選んだことだったりする。

「嫌いじゃないです! むしろ 大好きです!」

「そっか。 ならよかった。」

シンジは 基本的に 質問しない。

この数年間で 質問されたのなんて 数える程で。

どこまで 察しているのかは 分からないけど どんな時でも めんどくさがらずに 話を 聞いてくれる。

「実は 友達と 上手くいかなくなってしまって…」

息をするように 感情を 溢してしまう。

話したくなってしまう。

それが シンジだった。

それからも 色んな人達に 会ったけど 心置きなく自分を 恥ずかしがらずに 話せたり 見せたり出来たのは シンジだけだった。

「笑えるのは シンジだからだよ。」

言葉が 欲しいんじゃない。

その奥にある気持ちが いつだって 嬉しいんだ。

聞いてしまうのは 簡単で。

予想なんてしても 大抵が ハズレくじ。

チアキの胸に アタリくじがあるのが 分かっているのに わざわざ ハズレくじを 引くような真似だけは したくないだけだ。

雰囲気は 下手な質問より よっぽど 感情を 炙り出す。

それを 感じ取って 寄り添っていれば 濁った景色は 少しずつかもしれないけど 鮮やかな景色に 変わっていくんじゃないか。

「チアキとなら いつまでも 回っててもいいかもな…」

「よく 聞こえなかった! もう一回!」

「聞こえなくても 問題ないよ…」

これから 何ラウンドあるのだろう。

ゴングが 何度 鳴っても その度に 逃げないで 立ち向かうだけだ。

千の敵がいたとしても。

飽きるまで。

真実を 求めて。

炙り出せる。

ここに 二人は 居るのだから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?