A false start valentine(ア フォルス スタート バレンタイン)

何気なく アニメ大好き同級生と 連絡をしていると バレンタインが 近いことを知った。

もう かれこれ 6年くらいは『バレンタイン・チョコ』とは 無縁になってしまっていたことに 自分が 驚く。

今夜 自らが 与えたミッションは 3つ+α。

1つ目は この前 お祝いに行けなかった『居場所』の 女性に 日頃の感謝を込めた手紙と リクエストをしてくれた『米津玄師』さんの『馬と鹿』を 歌うこと。

2つ目は 準備してくれると 言ってくれた そのアニメ大好き同級生のお店に行って チョコを 貰うこと。

3つ目は 想い人の勤めるお店の いつも 私を可愛がってくれる お姉さんが『今日』お誕生日なので ちゃんと『おめでとうございます。』を 伝えること。

友人宅で 仕事の汚れを綺麗にして リセットした。

まずは『居場所』に 向かった。

「お誕生日おめでとう!」

「ありがとうございます!」

ナチュラルで 素敵な笑顔で 返答してくれるものだから 私のギアが 音をたてた。

「はい。 これ。」

私は この前 渡せなかった手紙を 彼女の手に贈り出した。

優しく掴んで 服の中に 仕舞ってくれる。

「よし! 貴女の為に『馬と鹿』覚えてきたから 歌うよ!」

「え? 覚えてくれたんですか?」

「リクエストされて 誕生日が 近いって なったら 覚える以外に無いでしょ?笑」

「ありがとう…」

ここから『居場所』での『Fuyuhota's mini live』が 幕を開けた。

『馬と鹿』を 歌っていると カラオケの右上に『Flamingo』の文字が 映った。

『Flamingo』を 歌っていると またしても 右上に『アイネクライネ』と 表示された。

『アイネクライネ』を 歌っていると 奥の席から『Lemon!』と リクエストが 入った。

アイスビールを 流し込んだと思ったら『パプリカ』を 調理することになった。

そんな 時間だった。

きっと これは 私が これから 歩む道の『予行演習』みたいなモノなんだろうなぁと 笑顔を 携えた。

「行かなきゃないから チェックしてもらっていい?」

ミッションには 時間制限が 付きものだ。

「どっか 行くんですか?」

「うん。 チョコ 準備してくれるって 言ってくれてさ…行かないとか ないじゃん?笑」

「確かに。」

「また ゆっくり 来るから。」

チェックを済ませた 私は タバコに 火を点けた。

すると『居場所』の親友が 注意するように 言ってきた。

「それ ちゃんと飲んでから 行ってよ?」

私は 一気に飲もうとした。

そしたら また 注意が来た。

「そういうことじゃなくて…もうちょっと 居なさいってこと。」

「あぁ…そうするか。」

ちょっとばかり『時間』にかまけて『本質』を 失うところだった。

流石は 想い人の親友。

こうして 教えてくれたり ヒントをくれる人達が 私の周りには たくさん 居ることに 頭が 上がらない。

少し 落ち着きながら アイスビールを 飲みきったから そろそろ 行こう。

「じゃあ…行くわ。」

「ありがとうね。」

誕生日の女性と 想い人の親友 それに 同級生の妹さんの 三人が 見送ってくれた。

「おにぎり またな。」

悪い顔をして 親友が 告げてきた。

「あなたは 口を慎みなさい。」

冗談交じりに 微笑みながら 返した。

「またね。」

「またね。」

こんな空間が 私を捕らえて 離してくれない。

来るのが 遅いと 電話が来ていたので 私は 同級生のお店に 急いだ。

「ごめん。 遅くなった。」

「来てくれればいいよ。」

やっぱり こいつとは 馬が合う。

そのあとは 同級生の 最近の太客である おじさんの バイタリティーに 二人で 感心するという 神々の会話をした。

この二年間くらいで 築いてきた 新たな関係性達は やはり 私の 進むべき道を 示してくれていたのだろうなぁと 体感する。

「チョコ ありがとうな。」

「5000倍くらいで 返せよぉ?」

悪戯な笑顔をしていた。

「一生 かかっても 稼げねぇかもな笑」

ここも また 私の『始点』に なるのだろう。

さぁ ラストミッション。

私は 想い人のお店に 襲来した。

「お姉さん! いつも お世話になっております。 お誕生日 おめでとうございます!」

「わざわざ ありがとうね。」

「いえいえ。」

カウンターの いつもの席に 腰をおろした。

隣には 私の歌を好きでいてくれる お兄さんがいた。

久しぶりだったから 嬉しくて たくさん 話し掛けてしまった。

すると お兄さんが 何も 言わずに 私にとって 本日 2度目の『Lemon』を 選曲なされた。

「お兄さんの為に 歌います!」

私は また 全力で 歌う。

「どうでしたか?」

なんて 聞いてみた。

「最高だったよ…」

今日も 満足いただけたようで 何よりだった。

しかも 大きな金額ではなかったけれど そのお兄さんが 私の料金を 支払ってくれていた。

「申し訳ないです! 自分 払いますから!」

「気にするな。 歌ってくれたから それでいいんだよ。」

私は 何度も 頭を下げた。

こんな出来事に 出会う度に 思う。

やはり 人とは 繋がっていて それは 想いであり 願いでもあるのだと。

そんなことを 感じていた。

最後に お店のナイスレディ達から『バレンタイン・チョコ』を 貰ってしまった。

もちろん 想い人からも 貰った。

単純に 嬉しかった。

お腹が空いた 私は たまたま 想い人のお店で働いている女性と 意見が一致したので ご飯を食べて くだらない話をした。

うん 満たされている。

だから 満たせるはずなんだ。

貰ったチョコを 撮影しながら 喜びを 噛み締めた。

気候は まるで 私の情熱を 表示しているように 暖かい日だったことを 添える。

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