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細川ガラシャ夫人

Title:細川ガラシャ夫人
著者:三浦綾子
出版社:新潮社
感想を書いた日: 2024-07-01

# あらすじ
明智光秀の娘として何不自由なく育てられた玉子は、十六になった時、織田信長の命令で細川忠興のもとに嫁ぐこととなった。女性が男性の所有物でしかなく、政略の道具として使われた時代に、玉子は真の人間らしい生き方を求めて行く......。実の親子も殺し合う戦国の世にあって、愛と信仰に殉じた細川ガラシャ夫人。
その清らかにして熾烈な悲劇の生涯を浮き彫りにした著者初の歴史小説。

暴君信長のむごい仕打ちに耐えかね、ついに明智光券は織田家に叛旗をひるがえした。しかしその天下はあまりにも短く、玉子は逆臣の娘として苦難の日々を過ごすことになった。父母一族は亡び、夫や子とも引き裂かれた玉子は、秀吉のキリシタン弾圧の中、洗礼を受けることを決意する…・・・・。強者の論理が支配する時代に、命をかけて信念を貫いた細川ガラシャの生涯を描く感動の歴史ロマン。

# 感想
今考えると異常な戦国時代、国取りゲームに自分の命をかけ、領土を守るためには親兄弟、親族なども政治的に利用される。一体誰が何のために戦うのか?己の短い人生を少しでも煌びやかに見せるための承認欲求?そんな複雑な時代に女性として生まれ、逆臣の娘、女性の心の内は理解出来ない嫉妬深く激しやすい夫の嫁として、どう生きるべきか常に考え抜いた結果、キリスト教の信仰に傾聴して行く玉子。矯正的に一度きりの人生に終止符を打たされることに、何らかの理由、それは死後天国へ導かれるとの理由を付けることで充実した人生と思えたなら幸いである。「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」

いやぁ小説冒頭の光秀が煕子をめとる話から胸熱の展開で一気読み出来た。美人で聡明な玉子みたいな強い女性に憧れている私にとってはドンピシャの歴史小説ですね。また三浦綾子さんが書くからキリスト教に頼って行く過程が実に説得力ある文書で心の内が読み取れる面白い小説でした。あまり毛嫌いせずに宗教についても理解を深めるべきだと思いました。

さて日本の戦国時代、大人になって周辺人物の小説などを読むようになると、ヒーロー感がどんどん逆転していきますね。小学校時代にかっこいいと思っていた織田信長や豊臣秀吉、石田三成ですが、信長、秀吉については我の強い暴君にしか思えなくなって来たりとか、悲劇のヒーロー的に感じていた三成の小賢しさなどの価値観がひっくり返ってしまいます。小学校の頃に知った明智光秀なんてヴィランでしか無かったのに、本小説を読むと嫁想いのイケダンでさぞかしいい人だったんだろうなぁ、それが気に入らなくて信長から辛い目にあわされていたんだろうなと思うようになりました。そりゃ主君を撃つにはそれ相当の理由と覚悟がある訳ですよね。はぁ😮‍💨簡単に戦国時代に生まれてみたかったなどと言わん方が良いですね笑。
次はキリシタン大名、黒田官兵衛の歴史小説家読みたいです。

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