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電子書籍が流通してほんとうにうれしいのはだれ?

みなさんは本を読むだろうか。

最近の東京の電車では、地下鉄も含めてほぼすべての路線で電波が入るようになっているので、スマホをいじっている人が多い。

しかしみんながそういうわけではなく、他にも勉強をしている人や、今日の仕事のイメージトレーニングをしているであろう人、英会話のなにかを聞いているのかそっと英語をつぶやいている人など、スマホをさわっている以外の人も意外と多い(なんとなくだが3〜4割ぐらい)。

最近ではiPadなどのタブレットをさわっている人も多いが、全体を通して電子書籍を読んでいる人はわりと少ない。1割にも満たない印象だ(わたし調べ)。

■紙 or 電子?

電子書籍といえば、自費出版のしやすいプラットフォームとして、わたしたちIT業界も興味津々。

ほんとに売れるの?という話には、紙 or 電子!?といった対立モノの議論も生まれやすい。
いや〜やっぱり本は紙で読まないと!」派と「電子でも読めるしじゅうぶんじゃね?」派である。

かくいうわたしも以前は「いや〜やっぱり本は紙で読まないと!」派だった。
理由は、「あれ〜あのくだりどこにあったっけ?」ということをパラパラとめくって探したかったからだ。

でも今は、「電子でも読めるしじゅうぶんじゃね?」派になりつつある。
パラパラとめくって探したかったことについては、実際にそれで「あっここここ!」と見つかることは実は少ない。

であれば、あらかじめ電子的にハイライトやメモをしておいて、あとで探すほうがラクである。しかも実際にそのほうがヒットする率が高いことがわかってきた。

■本当の論点はそこじゃない

でも、実はそんなことはどうでもいい。単なる個人の好みだからだ。どっちの人がいてもいい。
別に紙の本が好きで読んでいる人を「古いなぁ…」と思う理由もないし、電子版を使いこなしているからといってかっこいいわけでもない。
その人が読みやすいほう、使いやすいほうでいいのだ。

ではこの件の本当の論点はどこだろうか。
それはズバリ「本を読むことに対してハンディキャップのある人」だ。
本を読むことに対するハンディキャップとは、次のようなことが考えられる。

<物理的な理由>
・本を手に入れづらい(近くに本屋がない、もしくは読みたい本がなかなかない、入院して買いに行けない)

<身体的な理由>
・手が不自由な人(本を開いて持っておくことができない)
・目が不自由(=文字が読めない)人

こういった人たちにとっては電子書籍はかなりの発明品である。この便利さを超えるデメリットがあるだろうか?(…いやない)

■体験しないとわからない(かもしれない)

デザイン設計者としては本当はよくないのだが、こういうことは体験してみないとわからないことでもある。

なんでこの話題を持ってきたかというと、最近不便に陥ったできごとがあったからだ。
入院…とまではいかないが、少し家で安静にしていないといけなかったとき、さすがにスマホでSNSを見たりネットサーフィンをするだけでは目も疲れるし頭も疲れるし、飽きる。

そこで本を読もうと思ったのだが、安静=ベッドで横になりながら本を読むのは、みなさんも経験があると思うが、両腕またはどちらかの腕をずっとあげておかなければならなかったり、そうでなければ首を直角になるぐらいに曲げておかなければ、体勢的に読めない。
これがわりときついんだ。

ここで出てきたのがAmazon Kindle。なにこれ超便利!

手が疲れないし首も疲れない。しかも片手でずっと持ってられる。どんどん本が読み進む。大事だなと思うところには黄色のハイライトをつけ、メモを付け足す。
本の中で出てきた、ほしいなと思った商品には、あとで見返せるようにピンクのハイライトを。
読み終わったら、関連する他の本をそのままワンクリックで買う。またどんどん読み進める。

以外と便利だったのは、夜中に新しい本を購入してそのまますぐ読めるということだった。しかもどこにも出かけなくていい。寝たまま買える
これは電子書籍というものが流通する以前のわたしたちの社会では、ありえないことだ。

本を買いに行けないが、時間はある、寝てないといけない、でも本読みたい、というときに最高の体験をしたなと自画自賛だった。
やっぱり本は最高の資産ですよね、人間にとって。

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ここではじめて電子書籍のすばらしい体験ができ、この考えに至ることができた。

そして、以前そういえば紙のほうがいいだの電子のほうがいいだのという考えをぐるぐると巡らせていたなぁと恥ずかしく思ったのであった。
ぶっちゃけわたしたちみたいな、元気に働いている人たちなんて、紙でも電子でもどっちでもいい。好きなほうを読めばいい。
ちょっと出かければ本なんかすぐに買える。

でも世界にはそうじゃない人たちもたくさんいる。そっちの人にとってのメリットがきっと絶大なのである。

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