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瀬戸市と「つばき」

市の花「つばき」と「瀬戸椿の会」


瀬戸市の花「つばき」。昭和54年、市制50周年記
念行事のひとつとして市民投票により選定され、
マンホールにも「つばき」のデザインがあしらわ
れています。平成18年には、“瀬戸市を日本一の椿
の街にしよう”というスローガンのもと、「瀬戸椿
の会」が発足。様々な普及活動をされており、平
成20年品野に「瀬戸つばきの里」、平成24年赤津
に「凧山つばきの森」を開園。春には「瀬戸椿の
会」主催で椿祭りを開催し、スタンプラリーや物
品販売などでお祭りムードを盛り上げています。

瀬戸市の木と花「くろがねもち」と「つばき」が
デザインされたマンホール (銀座通り商店街にて)

「凧山つばきの森 」"椿祭り"

2023年3月25日(土)・26日(日)に開催された
「凧山つばきの森 第11回椿祭り」を訪れました。
赤津にある凧山つばきの森は、車に乗らない方は
少し行きにくい場所かもしれませんが、お祭り
期間にはパルティ前からシャトルバスも発着。
今年は2日間ともあいにくの雨模様でしたが雨に
濡れた花は一層の風情があり、うっすらと霞が
かかる山々の景色の中、スマホは瞬く間に椿の
写真でいっぱいに。

「凧山つばきの森」 藪椿と瀬戸の作家のオブジェ

愛らしい陶芸作品に添えられた椿の花 落椿も美しい


「凧山つばきの森」は元々藪椿の自生も多くみら
れたそうですが、植樹により、約1万坪に約500
種、4,000本の椿があるそうです。記念樹も受付
されていますので、興味のある方は「瀬戸椿の
会」のHPをチェックしてみてください。
「凧山つばきの森」は現在も関係者の方々の尽力
により、さらに見ごたえのある森へと成長中。自
然の中に溶け込んで設置された瀬戸の作家の陶芸
作品も鑑賞することができます。散策路も整備さ
れて、椿の時期だけでなく、四季折々の自然に親
しむことができる場所です。


カタクリも開花 斜面いっぱいになるよう養生中 
「椿祭り」来場記念ガラポンでいただいた水滴

「つばき」の歴史と文化


日本原産。学名はCamellia japonica。その歴史は
古く、縄文時代には堅くて粘り強い性質からも材
木として重用されました。古代では神聖な植物と
され、『日本書紀』などにも記述がみられます。
和名の「つばき」の語源は諸説あるようですが、
「椿」という文字は『万葉集』に既にみることが
できます。実用面でも多用されており、種子から
採取した椿油を愛用されている方もいると思われ
ますが、古代から灯油や食用油としても利用。
椿油は燃やしてもほとんど煙が出ないそうです。
椿の葉を用いた椿餅は『源氏物語』に出てきま
す。また、やきものにも深い関わりがあります。
瀬戸は日本で唯一鎌倉・室町時代に釉薬を施した
陶器をつくった場所と言われていますが、釉薬の
原点が「灰釉」。植物の灰を使用しており、椿も
その原料に。

多様な「つばき」


椿は冬のイメージがある方も多いと思いますが、
春咲きの種が主流で、3月から4月が花の見頃。
原種に加えて栽培品種も多く、花の色は鮮やかな
赤色やくすんだ赤色、桃色、白色に黄色、二色や
斑入りと多彩。咲形は一重と八重に大分されて
さらに細かく15種類以上になり、花の大きさも
小さな蝶々のサイズから大人の男性の手のひら
サイズまで様々。
『最新椿百科』(横内茂/編著)には、椿の歴史
と文化をはじめ、約300種の椿が美しい写真と詳
細な解説とともに紹介されていておすすめです。
以下の写真はすべて「凧山つばきの森」にて
撮影したものです。

黄瀬戸の陶板の品種案内   雨粒をまとった「紺侘助」
品よく赤がさした「藤娘」 薄桃に白の縁取り「参平椿」

[参考資料]
瀬戸椿の会HP(https://setotsubaki.com/
瀬戸市HP(市の木と花の紹介)
https://www.city.seto.aichi.jp/docs/2010/11/10/00314/index.html
『最新椿百科』
(横内茂/編著 淡交社 2022.3)
『椿(ものと人間の文化史168)』
(有岡利幸/著 法政大学出版局 2014.11)
『つばき油の文化史』
(有岡利幸/著 雄山閣 2014.12)
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