2023年秋アニメ感想『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』ネタバレ

16bitセンセーション ANOTHER LAYER

(本当に面倒な人間の書いた感想なので注意です。あとで消すかもしれません)

めっちゃネタバレします







エロゲがテーマの話で、黎明期のエロゲ業界にタイムスリップしたりしながら美少女コンテンツへの愛をどうにかこうにかしていく……という話(全然ちゃんと説明できないから詳しくは見てください)。なんだけど、なんかもうずっとテン年代のラノベアニメの味がしてる。テン年代のラノベアニメとして見れば普通におもしろい、というか気軽に楽しく見られる。マモルくん可愛いし。

ただ全然エロゲ関係ない!!!!!

当時の市場とかは結局僕もよく知らないからあれではあるんだけど、なんかそういうことじゃなくないか!?!?と思っていた。美少女が好きな人がたくさん出てくるだけで美少女が出てこない、というのがこのアニメの最大の特徴だと思う。簡単に言うと『トクサツガガガ』で特撮ブームを起こそうとしているようなものなので、無謀。あと単純に「歴史なんて変えていいんだよ!!」って言ったあとに「歴史変えちゃった〜(T T)」ってなるのとか、仕事やめたがってるマモルくんに未来人が催促したりとか、液タブで描いた絵を見せたがってたのに印刷したものを常備したりとかの策を用意しないとか……その辺がいちいち気になってしまってはいました!

読んでないから憶測でしかないけれど、アニオリと原作の割合バランスのとり方に難航してそうだなぁという印象だった。全然普通によかったところもあって、たとえば……このアニメって全体的に「クリエイターの権威化」みたいな空気が漂っていて、ビジネス的な話やコツコツとした下積みは軽視される傾向にあるんだけど、そこを、社長が「オレだってゲーム屋なんだ!!」みたいにいじけるシーンで補完したりとか……、丁寧にやってるなって思うところはありました。エコーの辺りとかも、(マモルくんが異常者だから消臭されてるけど)それこそ電波系エロゲみたいな奇妙さがあって、よかったし。元ネタがあるのかと思うくらいの出来だった。ただ「90年代のエロゲ開発現場レポ」として読めたのであろう原作のテンポ感が、そういうアニオリと合ってないような気がしました。ガワからは「美少女文化をもっと加速させていこう!」みたいな気迫を感じるんだけど、その割にあんまりエロゲの話しませんからね。

ただ色んなおもしろい点はあったね!!  特にマモルくんがずっとよかった。「タイムリープものなのにタイムリープ中の主人公以外が裏でめちゃくちゃ頑張ってる」というのが、あまりに新鮮な体験。「お前すごいよ……」と思いながら見てた。ギリ『君僕/僕君』は連想したけど。

本当にわかる人にしかわからない話をしてしまいますが、ウルトラマントリガーみたいな作品だった。何かの作品や文化に対するトリビュート作品なのに、そのトリビュートの擦り方が不器用なところとか。ただ本当に愛やリスペクトがあるのは伝わってくるのでいまいち憎めないところとか、主人公が元気バカでウザかったはずなのに貫き通すことで持ち直してくるところとか、単体で見たら(当時の作品の雰囲気とはかけ離れてるけど)結構おもしろいところとか……。後半もうエロゲの話全くしてなくて、「このアニメ自体がおもしろくなるための話」ばかり積み上げていた印象だけど、まぁアニメが自分のための話をしていくのはいいことだな、と割り切って楽しく見ました。

ただ最終回でブルーベルが人妻喫茶になってたのだけはマジでどうかと思った。「催眠人妻エロゲを作ってた夢のない会社は、なんか怪しげな雰囲気のエロそうなお店を細々と展開していくことになりました……」、僕は怒ってます!!!!!!!!!!!!そこに関しては!!!!!!!!!!!この作品におけるブルーベルっていわば「敵」の象徴だったわけだけど、その行き着く先が「なんかエロそうなお店やってました!」でひとウケ持ってこうとするだけなのは、ただただエロの軽視だと思った。実際「エロゲ」を漂白してクリーンな「美少女ゲーム」として流行らせるための、意図的な手つきなんだろうけど、となるとやっぱりズルいと思うよ。「売れない人妻喫茶を開く=この人は痛い目を見ている」って表現になってたのは、僕は本当に残念だった。だって極論、エロくなくていいんだったら、ソシャゲでもいいじゃないですか。いや実際はもっと色々あるんだろうけど……でもこのアニメが第1話で言おうとしてたことって、「ソシャゲに馴染めない現代の私たちの居場所を見つけ出そう」みたいなことなんだと当初僕は受け取っていたから、それなのになんか結局クリーンなものが正義になるんだ……と思っちゃった。「エロゲは催眠人妻みたいなアングラを扱えるから面白かった!」とまでは、さすがに当時の市場を経験していない僕は言えませんが、しかし結局大衆的なもの……売れるもの、クリーンなものがコノハの目指していた「好き」なんだったら、それってべつに元々の現代にもありましたよね、と思ってしまう。ソシャゲでよくない?  そこまで織り込み済みでやった可能性もあるけど……でもわかんないんだよ!!  エロゲ好きを名乗っているのに昔のエロゲのことはwikiでささっと調べたり、勇気を出すときにコネクト聴いたりするコノハのキャラデザインが!!!!!!!てっきりここから成長していくと思ってたから第1話時点だと「たしかに現代の若者ってこんな感じだね、鋭い鋭い」って受け入れてたんだけど、いまとなってはどうしてあえて「浅い」ひとにしたのかが読めずに、不思議な気持ちになっている。なんで!?!?!?

話は変わりますが同人エロゲの市場ってマジで面白くて(発作)、各々が自分の「好きなエロ」を描くために、逆算式でシステムやシナリオ、キャラクターを構築していくから、とても純度の高い作品ができる大変活気づいた市場なんですよ。僕はちゃんと黎明期〜全盛期のエロゲに触れられてる人間じゃない(ちゃんとやったの『ユメミルクスリ』くらいだ。大好き)けど、そういう経路で「エロからの逆算」が生み出す面白さも多少知ってる。僕が一番好きな同人エロゲは『エルローグ』で、ラストの展開が純粋に熱いことや、ちゃんとローグライクとして楽しめることとかもよかったし……、『妹!せいかつ〜ファンタジー〜』も、丁寧につくられたシステムのおかげで本当に「女の子(16bitALがいうところの「美少女」)」と向き合ってく感じがあって、すごくよかった。エロゲを再興させようという旗揚げ意思があるなら……というより、OPであんなに権威主義的な歌詞をつけさせるんだったら、エロの力を信じてよ!!!と思ってしまった。いや……信じなくてもいいから、バカにしないでよ!!!!!!そこにクリエイティブはあるんで!!!!!!!    なんでBメロだけ急にあんな『砂の惑星』みたいな歌詞になったの!!!!!!!!!!

という感じでこのアニメの外側が打ち出しているテーゼに関しては全然納得できないんですけど(発作)、でもお話は気軽に見られておもしろかったね〜。「昔の『美少女』に影響されて変な性格になっちゃってる子が、タイムリープして、『美少女』としてその時代の人間を振り回していく」……という構造はよかったな〜と思うし。「美少女ゲーム」という大枠で80〜00年代のエロゲをまとめて俎上にあげてたのがやりづらそうだったから、00〜10年代おばか美少女おいろけアニメへのリスペクトで走りきった『恋愛フロップス』はめちゃくちゃ偉かったんだな……と改めて思いました。片方sageて片方ageたいわけじゃなくて、あれは難しいことを器用にこなしていたんだなぁと認識をアップデートしたね。


なんかすごく気持ち悪い感想になったんですが、全て吐き出さないと全く眠れなかったため(朝7時半)、純粋な感想として放流だけします。謎の発作が起きてるだけで普通におもしろかったので、気になってる人は見ましょう。みんなってこのアニメどう思ってるんですか?  あっEDはめっちゃよかったです……

この記事が参加している募集

アニメ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?