なんでこんなことになったんだろう

薬物事件めぐり日大アメフト部“廃部”方針が決定
沢田副学長は辞任届提出へ 
きょう午後に臨時の理事会開催

コロナ禍前までは、なんだかんだで10年近くライスボウルを毎年観に行っていた。

Wikipedia:ライスボウル

ざっくり言えば、アメフトの日本選手権。かつては大学リーグの優勝チームと社会人リーグの優勝チームとが戦っていたが、今は社会人リーグの優勝決定戦となっている。
つまり日本トップクラスの試合が観られるわけだ。

アメフトの本場といえば、もちろんアメリカなのだけれど、NFLの試合はまったくチェックしていない。
というか、大学生リーグや社会人リーグのチーム名や順位なども知らない。
単に、ライスボウルというイベントだけが好きなのである。
プロスポーツの最高峰の試合を、1月3日という休日に(三が日なので会社も基本的に休み)、東京ドームという一等地で、他のプロスポーツより安い料金で鑑賞できる。
その点に心惹かれて、ずっと観に行っている。

ここ最近は観客数も増えている印象ではあるけれど、よほど直前でもない限り指定席は確実に取れる。
イベント感を存分に味わうなら一般席のほうが良いのだろうけど、行列に並ぶことなく、席取りも気にせず、ビールを飲みながらのんびり鑑賞できる指定席のほうが僕の性に合っている。

そんなレベルのアメフト ファンである僕ですら、今回の一件はとても悲しくて、残念だった。
日本大学のアメフト部は「フェニックス」の名称で知られており、かつては社会人にすら勝利を収めるほどの強豪だった。
ここ数年は低迷していたけれど、2017年に大学生王者に返り咲いている。その直後に反則タックルの問題が起きているわけだが…
ともあれ、前述のとおりの薄い興味しかアメフトに持っていない僕ですら、日本大学という古豪の存在は知っているわけである。

その古豪が、もうすぐ消えてしまうことになる。
かつて社会人とも互角に戦い、致命的ともいえる不祥事から這い上がってきたフェニックスというチームは、部員の違法薬物使用に端を発した一連の事件が原因で、その歴史を突然終わらせることになる。

なんでこんなことになったんだろうか。

良きスポーツ選手が良き隣人であるとは限らない。
違法薬物を使用した選手の人となりなど、もちろん僕の知るところではない。
彼らは良き選手だったのだろうか。チームに貢献する選手だったのだろうか。
事件の真相がすべて明らかになったわけではないだろうけど、正直に言って「珍しい話」ではない。

日本におけるアメフトの知名度やファン層は、たとえば野球と比べればはるかに小規模だと思う。
とはいえ、たとえ「狭い庭」とはいえ、日本アメフト界における日本大学の存在は確実に大きかったはず。
フェニックスの一員になれたことは選手たちにとっても誉れだったろうし、20代前半という年齢も考えれば、調子に乗ってもおかしくはないだろう。
同じチームの選手だけが住まう寮という環境であれば、「誰にも気づかれない」という思い込みがなおさら強くなっていたのではないだろうか。
たとえ薬物使用が明るみに出たとしても大したことはないと甘く見ていたかもしれない。
そもそもバレるとすら思っていなかったかもしれない。

だが、今まさにこの瞬間、日大アメフト部の命運は尽きかけている。
違法薬物を使用していた選手は、後始末でことごとく過ちを犯してきた関係者は、この事態を予測していただろうか。こうなることを望んでいただろうか。
望みどおりであれば「それは良かったね」ということなのだけれど、僕はこんなことになってほしくなかった。
チームの活動停止はやむを得ないと思っていた。関係者の処分も当然だろう。
さらなる選手の逮捕や退部も相次ぐかもしれないが、それも仕方ない。

日大の理事会に関する情けない報道を目にするたびに、失望は増していた。
そしてついに「廃部」という最悪の2文字を報道で目にすることになった。
まだ正式なリリースがあったわけではないから、ひょっとしたらとんでもない誤報なのかもしれない。
その時はこの記事も非公開にする予定だ。そうなってほしいけども。

誰が何を間違ったのか。誰が何もしなかったのか。
何が明らかになっていないのか。何が原因だったのか。
いろんな疑問符がすべて消える日は、たぶん来ないのだろう。
ただ事実として、日本大学フェニックスという古豪のアメフトチームがなくなる。
新しいアメフトチームが日本大学に作られる日がいずれ来るかもしれないが、途方もない負の遺産を精算することはかなり難しいだろう。

ライスボウルは大学生チームが出場できない大会になってしまった。
甲子園ボウルの結果をいちいち調べるほど熱心なアメフトファンではない。
そもそも僕が日大フェニックスの名前を目にする機会は、これまでも少なかったのだ。

それでも、今はとても寂しい思いを抱えている。
それはとても薄っぺらい寂しさなのかもしれないけど、今の自分の正直な思いをこの場所に綴っておくことにする。

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