#17 自慢
彼が作家になる前から、彼のことは知っていました。
日本語の使い方と選び方がとてもきれいなのが印象的でした。
いつか彼が本を出したら絶対買いに行こうと思っていました。
彼が三冊目の本を出して約二か月後、彼から電話がかかってきました。
驚きました。
もちろん彼は、私の存在を知りません。
電話をかけてきて初めて、私の存在を知ったんです。
真夜中の3時半。私は心の準備も何もできていませんでした。
彼は私にこう聞きました。
あなたの人生の中でした、一番ひどいことはなんですか。
私は何も答えられませんでした。
今までにひどいことをしておけばよかったと、初めて後悔しました。
人生の中で、そんな質問をされるときがくるなんて、誰が思いますか。
そして私に、それを答えられるときが、いつかくるのでしょうか。
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