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クライアントとの関わり方

裏 法務系 AdventCalendar 2021」のエントリー記事です!

今回,AdventCalendar 初エントリーなため,勝手がわかっておりませんが,お付き合いください!

淺井健人さんから,バトンをお受けし,担当いたします!

はじめに

私が何者かというと,独立して3年目に突入した弁護士(68期)で,主にベンチャー/スタートアップ企業,クリエイターの方の支援を行っています。業界でいうとIT,エンタメ,クリエイティブ,アパレル系が多いです。

もう少し詳しく知りたいという奇特な方は,ぜひこちらの全2回で打ち切り(?)となったこちらの記事(若手弁護士の独立とチーム作り episode0)をご覧いただけたら幸いです^^


今回は,法務仲間であるさんから,「とみーやればいいじゃん,いややれよ」と,半ばパワハラを受けて(嘘)参加を決意いたしました!

ちなみに,10ruさんは(あれ事務所のメンバーだっけ?と思うくらいに)色々なタイミングで弊所に来てくれます。こういった友人が他にもたくさんいてくれるので幸せです。ヘッダーの画像も10ruさんと一緒にルール展に行った際のものです。

さて,今回何をお話しようかというと,独立して3年目の自分が日々考えているクライアント(顧問先)との関わり方について,具体的な業務内容やコミュニケーションのとり方などに触れつつお話できたらなぁと思います。

業務内容

現在,弊所が扱っている内容としては,企業法務全般です

顧問先か否かに関わらず,よくある内容として,
・法務相談,
・新規事業の適法性リサーチ,
・ファイナンス関連,
・契約書,利用規約,各種規定のチェック・作成,
・紛争対応,

顧問先については,上記のものに加えて,
・顧問先が抱える法的課題に関する勉強会
・(増資や役員選任等)登記,商標出願,就業規則等の作成
あたりも対応することが多いです。

ちなみに,ここでは,スタートアップ法務がなんぞやという一大論点には立ち入りませんが^^,

クリエイターやアパレルの方に対しては,契約書関係,商標,意匠,特許といったあたりを対応することが多いです。意匠や特許の場合は,過去に特許庁に所属していた友人の片山弁護士の協力を得てやってます。

以上の内容からもわかるとおり,取り扱う法分野は民法・商法を前提として,会社法,労働法,個人情報保護法,資金決済法,景表法,下請法,著作権法等々自ずからかなり幅広い,,,というか制限ないです。

クライアント(顧問先)との関わり方

そうすると結局,企業のなんでも屋じゃね?専門性は?と言われれば,耳が痛いのですが,,,,少なくとも現時点で僕らの企業への関わり方は,業務の専門性というより,幅広い法分野,業務を取り扱うことに重きを置いています。

そこで,専門性とは違う特徴として,僕らはクライアント(顧問先)との関わり方に日々頭を悩ませ,創意工夫しています。

前置きが長くなりましたが,,ここからが本題です笑

ここからかなり独自の見解になりますが(「畢竟独自の見解を縷々述べる」といつか使いたい),

クライアントとの関わり方は,
①コミュニケーションのとり方,という方法論と
②そのクライアントに対して何を提供するのか,という内容の話

に分けて考えることができると思います。

①コミュニケーションのとり方

コミュニケーションのとり方は,
・利用するツール
・レスポンスの速さ
・プロアクティブな姿勢
といった視点になるかなと。

・利用するツール

これは対面での打ち合わせのほか,電話,メール,チャット,ウェブ会議というツールのうち何を利用するのかといったところです。

これはクライアントが要望する方法で対応すれば良いので,様々な方法で対応できるようにしておくという点を意識しています。
色々なツールにアンテナを張る,苦手意識を持たない,利用するツールに関するルールをクライアントと決めておくといった辺りが重要かなと思います。

ちなみに,電話は士業でも嫌う人が一定数いますが,いつ,どういったタイミングで電話を利用するのかということをクライアントと認識をすり合わせておけば良い話なので,それが上手くいっていないのは電話というツールの問題ではなく,クライアントとの意思疎通が図れていないのではと思います。

・レスポンスの速さ

クライアントからの問い合わせに対して速やかに反応する,依頼された業務を速やかに完了するということですね。

クライアントからの連絡に気付いた時点で,即答できるものは即答し,即答できないのであればいつまでに回答しますというレスをすることが大事です。

回答の目安については,の標準処理期間を予め策定しておくという指摘が大変参考になります。

また友人の司法書士(兼社労士)であるもとても良いことを言っています(ちなみに彼と10ruさんと三人でルール展に行っています。)。

仕事の早さについて言えば,日々の研鑽,経験が大きく寄与します。経験は自分でコントロールできませんが,研鑽はコントロールできるので日頃から自身での学習や仲間内との勉強会を継続してやることが重要です。

高校生の頃に,担任の教師の方が「勉強をやめるときは,この仕事(教師)を辞めるとき」と言っていましたが,今になって理解できます。当時は,ふーん,勉強熱心な人だなくらいにしか思ってませんでしたが。

仕事の早さついては,タイムチャージとの関係でも指摘されていますね。

効率性を上げて,スピードを上げるという意味では,GVAassist(旧Ai-con)を利用することは有用です。
この点については,僭越ながらインタビューしていただいた下記の記事あたりをお読みいただけると幸いです(宣伝)。

そして,出先でクライアントから質問を受けたときに,即座に回答したいけど,書籍を確認してからにしたいと思ったときに役立つのが,LegalLibraryです。

今までは事務所に戻ってから確認していたようなものでも,電車やタクシーの中,カフェで即座に回答できます。最近は,LegalLibraryさんのお世話になりっぱなしです。書籍の種類も大変充実してますし,コピー機能や,類似文章検索機能とか最高ですね。法務として必須だと思います。

うだうだとレスポンスについて述べましたが,この辺りは言ってしまえば当然のことですよね。

・プロアクティブな姿勢

そうなってくると,三点目のプロアクティブな姿勢が重要です。

「プロアクティブな提案をしてほしい」

これは,実際にクライアントから僕らが言われた一言です。

言われた瞬間,涼しい顔して,「そうですよね,そうしたいと思っています。承知しました」と回答しましたが,打ち合わせを終えた瞬間,念の為,ググりました。

要は,言われたことをやるのではなく,積極的に企業がより良くなるような提案をしてほしいということ。

なにか問題が生じたときに対応してもらうといった受動的なイメージを覆してほしいということだと思います。

ここには2つの意味があると思っていて,
・クライアントが現に要望していること(気付いているニーズ)を言われる前にやる
・クライアントが未だ意識していないこと(気付いていないニーズ)を把握して提案する

このプロアクティブな提案が出来るかが,クライアントにとって重要,すなわち,クライアントが僕らを選ぶ理由になってくると思っているんですが,これが難しいんですよね。

相手が何を望んでいるのか,相手が気付いていないニーズがどこにあるのか。営業の方が日頃からやっていることだとは思いますが,僕ら士業は如何せんこの辺りの経験が少ない。

これを知るためには,定期的な対面での交流が必要不可欠かなと思います。
同じ空間にいるという空気感を共有できますし,相手の表情やしぐさ,雰囲気は,直接会ったほうが分かりやすく,腹を割った話もしやすいです。

コロナ禍でウェブ会議に慣れきってしまいましたが,最近になって対面でのコミュニケーションの重要性に改めて気付かされました。

僕らは,こういった場面で話した内容をもとに,クライアントごとに,そのクライアントが何を望んでいるのかを見極め,クライアントが望んでいるものを提供するようにしています(これが,僕らが言われたプロアクティブな提案というのだろうと思います)。

②そのクライアントに対して,何を提供するのか

クライアントに対して,何を提供するのかと言われれば,クライアントごとに,望んでいるものを提供する以外ないだろうと誰しもが思います。

大した話ではないように思えますが,クライアントから言われる前に望んでいるものを把握して,やれている人は意外と多くないのではないかと思います。

例えば,雑談の中で,
新規事業を立ち上げるという話を聞けば,そこでの契約書・利用規約まわりはもちろん,商標の出願もやりましょう!

従業員が増えてきているという話を聞けば,就業規則を作成,確認しましょう!労働法について知っておくべき勉強会や採用フローや退職フローなどを確認しましょう!

取引先との契約内容で最近良く悩むことがあるということであれば,悩んでいる内容について,法務の方と一緒に検討しましょう,事業部の方とディスカッションして悩みや要望を聞きましょう,営業の方も最低限理解できるように社内向けに勉強会をしましょう!

といった提案を簡単なものでも言われる前に具体的にこちらから提案し,提供する。これが大事かなと。

もっとライトな提案で言えば,どの士業に何を相談してよいか分からないということであれば,の受け売りですが,税理士,社労士,弁護士が参加するチャットグループでも作ってそこに質問するようにしましょうとか提案し,実践しています。

クライアントは自分達のことを考えてくれていると実感したときに,この人でよかったと思ってくれると感じています。

僕らは,提案のほかにも,クライアントの思考,姿勢に近いものに触れた際に,積極的にその内容を共有するようにしています。

あるクライアントの方は,数年前に僕が言った「○○さんが思っている以上に,僕らは御社のことを考えていますよ」といった一言を覚えてくれていました。

法務部としての関わり方

さらに進んで,僕らは企業の外にいながら,企業の法務部としての関わり方を提唱しています。それって顧問と何が違うの?やってること同じじゃない?との声が聞こえてきそうですが,本質が全く違うと思っています。

この場合,法務部として,経営者や事業部と一緒に悩んで,企業をより良くするために動きますし,場合によっては,僕らが企業の中から外部の法律事務所に依頼して,助言を仰ぐということも考えられます。

会社の規模にかかわらず,顧問弁護士の有無にかかわらず関われれるのが良いですね。法務部がいないとか,一人法務の企業にも使い勝手が良いのではないかと思います。

例えば,僕らは,課題を設定して,一年の間にそれについてどういうスケジュールで取り組む,こういったレベルまで課題をクリアする予定といった提案をしています。

この場合,月に2〜3回はミーティングをし,各種進捗を確認し,コーポレートガバナンスや監査の視点などについても意見交換をしつつ,様々な課題に取り組んでいます。

さすがにここまで取り組むためには稼働時間がかなり要求されるため,こういったクライアントを増やすとしても,現状ではあと1〜2社が限界だとは思います。

これは,法務受託という考え方に基づいています。僕らが独立前に,藥師神先生に相談した際に,教えてもらいました。

こういった考え方は,徐々に他の弁護士の方も取り入れているように思います。まさしく,僕らがやっていることと同様です。


本当に嬉しいことに,クライアントから経営企画側へも参画していってほしいという発言も受けております。この点についてはまだまだ未知数でありますが,年内に整理し,年明けから具体的に動いていきたいと考えているところです。

終わりに

このような形で,僕らはクライアントとの関わり方について日々考えて動いているわけですが,業務の専門性で勝負をしているわけではいない僕らにとっての強みはここにあるかなぁと思っています。

最近独立された方や今後独立を考えている方,弁護士に依頼する企業の方の参考になれれば幸いです!

「裏 法務系 Advent Calendar 2021」、次回はさんです!!

おまけ

コロナ等もあって,最近,新しい方達と出会ってお話する機会がないので,来年はまた色々な人達との交流を持ちたいと思っています。これを読んだ方は,全員僕をお茶に誘ってください。

友人の行政書士であるのYoutubeチャンネルにお邪魔しております。一時間ほどあるので,年末年始暇で暇で仕方ない,テレビも飽きたというような状況に陥った際にチラッと見ていただけたら!DMSも声だけ出演しています!村瀬先生も爆速かつ,丁寧な仕事をなさる方なんだよなぁぁぁ。

それでは,今回はこのへんでm(_ _)m








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