見出し画像

サイドテーブル


 それは夕食後、急に来た。いや、来るべくして来たのかもしれない。この世は諸行無常。形あるものは壊れゆく。全てのものは、常では無い。前からわかっている事だ。

 1号を乗せて歯磨きするのはわかる。
体重が3キロちょっとのトイプーだから。そういえばサイドテーブルの説明書に「耐荷重3Kg」と書いてあった。1号と一緒だ。

 そこへ、耐荷重の10倍以上の圧がかかる。軽い方だとは言え、40Kgは少し超えている。最初は1号の歯磨台の様になっていた。ちょうど良い高さと狭さだったから。1号はサイドテーブルの上では動かない。歯磨きがしやすい。
 そこに、飼い主も座る。1号の歯磨きをする。当然、諸行無常だ。飼い主も座るんだから。悲鳴と共に崩れ落ちた。世は、はかない。
 それは、食後のソファーの前で繰り広げられた。あたかもイスの様に座っているが、それはイスではない。サイドテーブルだ。テーブルにサイドがつく。耐荷重3キロのはかなさ。そこに当たり前のように座る。
 映画のマトリックスの様だった。スローモーションで両手を広げて崩れ落ちる。1号は身体能力を活かして脱出した。あとには「なんで、そんなとこにいてるん!」といわれている様なサイドテーブルが折れ曲がって、そこにいた。六角レンチで締め直してみたけどグラグラは治らなかった。

禁止事項に「座る」と書いている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?