社会のなかの人間科学 Day5

大学院の講義の中で学んだことのリフレクションを社会にも役立てるべく、また自分の備忘録としてnoteに記す。

東京学芸大学の笠原広一先生のArt based Researchの講義を受講した。A/r/tographyということばを初めて耳にした。アート(芸術)とグラフィー(研究論文やエッセイ)のハイブリッドな手法と考え方で、間のスラッシュは、a/r/t=芸術家artistであり研究者researcherであり教育者teacherでもあるという。私たち人間の存在の多面性の間に生成する生を、アートを通して見出し、創造し、探求していく生の技法だという。アートは認識であり、智を生み出すという言葉は特徴的である。具体的に、先生の出身である福島を題材に、高村光太郎の妻千恵子の「ほんとの空」を見つけたでは、東京には空がない、昔なじみの二本松から見る安達太良山が原風景のようだ。時間とは過去、現在の実践である。福島に戻り写真を撮った時の感覚は久々に訪れた記憶を呼び戻す。ビーチコーミングで流木を拾いアートワークショップを開く話し、版画のアートワークショップの話し、いずれも東日本大震災から10年がたつが、心のケアは今なお必要とされ、アートの実践者育成と研究ができることはありそうだ。講義を通じて思ったことは、生きるということすべてがアートで表現されるのではないかと気づいたことだ。絵や写真、美術で表現することは言葉で表現することよりも感性に訴えてくるものがある。想いをアートという媒体に乗せて発信することがアートグラフィーで、A/r/tの専門家たちが活動できる範囲は、人間の営みそのものなのだと考える。わたくしも長らくアートから遠ざかっているが、年を取ってきて少しずつ実は興味を持ち始めている。個人として写真一枚、デッサンなど表現をしていくことからアートをはじめてみようと思う。


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