見出し画像

「これだから韓国の旅がやめられない!」 〜今こそ、人と触れ合う旅を〜

※この記事はDAILY ONE(http://www.daily-one.com/、現在閉鎖)で2015年1月10日に掲載されたものです。

年末年始のこの時期、韓国へ出かける方も多いはずだ。円安ウォン高が進み、ショッピングなどにメリットが薄くなっている今こそ、韓国の人々と触れ合う旅を実践したい。

2014年の年末、日韓関係に対する世論は正直好ましいといえる状況ではないが、そのようなときこそ、むしろ韓国の旅の魅力を伝えたい。エピソードとともにお話することにしよう。

●地下鉄で出会った方と、ちょっと一杯

 私が韓国に滞在していた2013年の始めごろ、ソウルで地下鉄に乗ったときのことである。少しお酒に酔った中年の男性に、電車の行先を尋ねられて答えたところ、「ん?あなた外国人か?」という。私は「日本人です」と答えると、つかの間であったが話が弾んだ。

話を聞いてみると小さな子どもがいるお父さんのようだ。写真も見せてくれた。しばらくして、たまたま同じ駅で降りたところ、「今から飲みに行こうか」という。

その方も半信半疑で誘ったようだが、私は好奇心もあって承諾した。すると、昔からの行きつけだという店に連れて行ってくれて、もやしたっぷりでピリ辛の海鮮蒸しを肴に、焼酎を飲んだ。「このお客さん、今までいろんな人を連れてきたけれど、道で会った人を連れてきたのは初めてだ」とお店の方も驚いていた。

●日本への批判を聞かされたが、でも…

お酒を飲みちょうどいい具合に酔ってきたときに、突然、「日本が嫌いだ」と話しはじめる。「最近の日本の政治はなんだ、経済はどうなっているんだ」と、顔を赤らめて語る。

あまりにもうるさく言われたので、私も熱くなり応戦した。「何でそんな日本のことを悪く言うんですか!」と言ってみた。私は外国人。周りの人たちからの視線が気になり、どこから何か飛んでくるのではないかと、心配になった。

しかし、その方は少し間をおいて言った。「ほんとはそう思っているわけじゃないんだ、日本には親戚も住んでいるし、日本の企業もすごいところがあるし、実は日本が好きなんだよ」と小さく語り、ホッとしたのを鮮明に記憶している。

●お互いに理解することが大切

韓国の人々の日本に対する感情は様々だ。ひどく言う人もいれば、褒める人もいる。しかしながら、何かの節に政治や歴史の話になってしまうと、やはりこじれてしまう。だから私は、極力避けるようにしている。

日韓は隣り合う国だからこそ、どうしても利害が一致せず、双方が対峙することもある。歴史に対する考え方が異なるのも、やはり仕方ない面があるだろう。単純に韓国人と交流するうえでは、ややこしい議論は抜きに考えたい。

そんなとき私たち一人一人ができることといえば、語学や文化を学ぶことを通して、お互いを理解することではないだろうか。もちろん旅も、その一環となりうる。

それぞれの国に旅に出かけて、市井の人と触れ合い心が通じあえば、たとえ政治的にギクシャクしようとも、ものごとが平和的に進むだろうと信じてやまない。私はそう考えて、韓国の旅の魅力を日々発信し続けているのだ。

●最近のおすすめは、江原道(カンウォンド)

韓国の津々浦々を巡ると、それぞれの地域ごとに特色が感じられる。なかでも最近、私が注目しているのは江原道だ。江原道は韓国の北東部に位置する地域で、東側は海に面している。韓国の人口は5,000万人を超えたが、江原道には約156万人しかいない。極端な言い方をすれば、道全体が「秘境」である。

なによりも自然が豊かなのが魅力だ。山に囲まれており、空気がひんやりとしている。街を走る車も心なしかのんびりしているような気がして、話してみると人の心も温かい。

江原道はかつて、交通の便もあまりよくはなかったが、ドラマ『冬のソナタ』で有名な南怡島のある春川(チュンチョン)市まではソウルから1時間強。東海岸の束草(ソクチョ)までは2時間30分で行くことができる。2018年には平昌(ピョンチャン)にて冬季五輪が開催予定で、今後の発展も期待される。

画像1

(江原道の市場・旌善五日市)

●江原道のヘルシーな健康食に注目

魅力を語ればきりがないのだが、私は江原道にヘルシーな食べものが多いことに注目している。山あいの土地柄や寒冷地だということもあり、ソバやジャガイモ、トウモロコシの生産が盛んだ。韓国料理というと辛いイメージが拭い去れないが、むしろ素朴な料理が目立つ。逆にガッツリ派の方にはブランド牛の焼肉もまたおすすめだ。

伝統市場では、お店のアジュンマ(おばさん)が丸く小さな鉄板のうえで、白菜などの具材を入れたメミルジョン(そばチヂミ)や、メミルジョンピョン(キムチや春雨などを包んだそば粉のクレープ状のおやき)をジュージューと焼いている。お店の前の椅子にちょいと腰かけて、美味しい空気とともに口いっぱいに頬張れば、旅情に浸れること間違いなしだ。甘酸っぱいマッコリ一杯を口にすれば、気分も爽快だ。

少しでも韓国語がわかるならば、カウンター越しのおばさんに話しかけてみよう。きっと暖かく迎えてくれるだろう。隣に座っている人とも、話が弾むかもしれない。

メディアでは日韓関係の悪化が伝えられ、円安が重なり、韓国旅行にとっては表面的にマイナス要素も多い。しかし、韓国を訪れて、街や市場の雰囲気を感じ、美味しいものを口にして、人々と話せば、必ずやそんなことを忘れさせてくれるはずだ。ぜひ来年、2015年も韓国旅行、とくに地方の旅をおすすめしたい。

画像2

(メミルジョン)

画像3

(メミルジョンピョン)

※この記事はDAILY ONE(http://www.daily-one.com/、現在閉鎖)で2015年1月10日に掲載されたものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?