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「写真の創作」って何? (8)…写真のあちら側とこちら側・・・ダメ写真で創作に挑戦

エピソード

とあるアマチュア写真家さんにお会いした。Aさんということにしておこう。自分の写真がありきたりのもので面白くないと嘆いている。
どれどれ、どういう写真? と見せてみらう。
私:「いい写真じゃない」
Aさん:「当たりまえの、誰が撮っても同じような写真ですよ」
(Webに掲載されているAさんの仲間の写真を見せてくれる)
・・・構図とかはよくできているが、確かに、誰でも撮るようなお決まりの写真・・・。

Aさん曰く、自分の写真はつまらないので、変えていきたい・・・。どうすればよいか、と色々聞いてくる。

しかし、色々聞いてみると・・・、写真撮影の方法論とかに一家言ある・・。そうそう、「写真はこうあるべき」という自分なりの考えが根底にある。

そこで思いついたのが、写真のあちら側とこちら側と言うタイトル。

写真のあちら側

ここで「写真のあちら側」と言う概念を考えてみよう。
写真についての様々な記事を読むと、そこに書いてあるのは、ほとんどがカメラなどの機材やそれらの使い方だったり、それらを使った写真の撮り方・撮影技術である事が多いですね。このような機材や撮影技術のことをここでは「写真のあちら側」と言う言い方で定義します。

そして、「写真はこうあるべき」と言う人の言う内容は、そのほとんどがこの写真のあちら側の話のような気がします。典型的な例が、写真は、ピントがすべてあっていなくてはならない、とか、日の丸構図は初心者だ、とか。

写真はこうあるべき・・ということの内容をよくよく聞くと、それって、大家の言葉や、講師から教えてもらったことをそっくりそのまま言っていたり、写真雑誌等の記事を受け売りで言っていたりしますね。しかし、もともとの話は、特定の条件下のものだったりして、普遍的なものではなかったりします。

写真について信念を持つこと自体は悪いことではないと思うのですが、自分の写真を変えたいと思っているときに、そういった自分の信念は変えずに、結果として出てくる「写真」に変化が見られるでしょうか?

写真のこちら側

例えば、露出オーバーで、白飛びしたところのある写真・・白飛びがあるからダメ・・・と決めつける。白飛びがダメと言える場合は、前提として、そこにある被写体の映像(色も含め)を写す必要がある場合ですよね。

白飛びのある状態の映像もまた、カメラがレンズを通して作り出した映像だから、それもまた、写真であることは間違いないわけです。
それを良いか悪いかと評価するのは、こちら側の問題ですね。

ピントが合っていないボケ写真、日の丸構図の写真の良し悪しも同じく、こちら側の問題ですね。

すなわち、「写真のこちら側」とは、写真を見る側のこと、評価する側のことで、それは、とりもなおさず、これから写真を撮ろうという撮る側自身の問題ともなります。

写真の物理的意味

写真は、被写体に反射した光をレンズを通してカメラのフィルムや受光素子が捉えた映像・イメージですね。そして、その段階の映像は、物理的に良いも悪いもなく、単に、現象として光によって描かれた像がそこにあるだけです。

それを人間が見て、あ〜だ、こ〜だと評価している。

すなわち、物理的に得られた映像の良し悪しは、人間が勝手に決定していることであり、その良し悪しの判断基準が固定して凝り固まっている人には、これから撮ろうとする写真も、その凝り固まった基準で撮るのであるから、なんら変わならない、ということになりますね。

よって、撮影技法やカメラを変えたりするだけではなく、その人の物の見方、考え方を変えなければ写真は変わらないということになってしまいます。

ダメ写真で表現してみる

この下の写真は、露出オーバーの写真です。通常は、きちんと写っていないということで、ダメとされるでしょう。
これを撮るきっかけは、とあるモデルさんのポートレート写真を撮っていたときでした。スタジオでフラッシュを焚いての撮影でしたが、カメラのレンズを変えてうっかり露出を決めずにシャッターを押してしまった結果、失敗写真として露出オーバーの撮影になってしまったということです。
その写真はこれ。

失敗ですが、なんとなく面白い。
その後、とある団体がフォトコンをしているとのことで、この手の写真で応募してみようと・・・。
それで作成したのが、次の写真。
当たり前の肖像ですが、これを露出オーバーの超ハイキーにして、「不透明な肖像権」とタイトルをつけました。
なぜ、「不透明な肖像権」なのか、は肖像権の意味とこの写真の半透明さから分かる人は分かるはず・・・との思いで応募してみました。


結果はどうだったか?・・・・皆さんどう思われますか?
元来ダメ写真ですから・・(笑)。 でも私は気に入っています。

写真の創造って・・既成概念に縛られない、ってことも必要ですね。

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