星落とし

この暗闇の中に輝く光を
欲に任せて手に入れたいと
必死に手を伸ばした人がいる

手を伸ばしても届かないから
ハシゴを使って登っていき
それでもその光は遥か遠く
手の届かない場所で美しく光っている

血眼になって
ハシゴを何個も繋げて
この空に届かせようと
果てしなく長いハシゴを作って
空に登っていった

その人がどうなったのか
誰も知らない

今日も星は輝く
一人の人の欲にまみれても
いつもと変わらず美しく輝く

どんなに欲しくても
一生わたしの手で掴めることはなく
だからこそいつまでも恋しい星たち

ふと伸ばした手の先に
一人の人間の影が映った気がした

真っ黒な炭のような姿で

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