坂道

坂道を駆け降りるそのスピードは
わたしの心臓の鼓動と同じ

いくらスピードを上げても
まだまだだよって笑ってるあなたの
大きな手を捕まえたくて
心臓の鼓動はまた一層ギアを上げる

それでも届かないあなたの手は
遠くから見つめるわたしの視線になんて
気づくわけもなく

少し背伸びをして
ウェーブさせた髪をなでる

教室の端と端は
まるで世界の表と裏のように
離れていて

絶対に気づかれることのない
わたしの視線は誰かの背中に
遮られて今日のアピールはおしまい

それでもあなたの手をつかみたくて
わたしはまたひとつギアを上げる

大丈夫
少しずつ早くなってるから

あと数センチ
近いようで遠いあなたの手を
明日も追いかけて
わたしは坂道を走る

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