抜け殻

もう二度と届くことのない
この世界の終わりには
干からびたわたしの抜け殻が転がっていて

通り過ぎる誰の目にも留まることはなく
やがて朽ちて消えていく

それを残酷だと君は言うけれど
壊れてしまったこの世界では
そんなことは当たり前なんだよと
わたしは君に教えてあげる

幼い頃炎天下の夏の空の下
見つけたセミの抜け殻は
大空へと向かう希望に似た
何かだった

それに比べてわたしの抜け殻は
魂がただ抜けたような
絶望という言葉が相応しい
美しくもない完全な失敗作だった

大空に羽ばたいたセミはどこに行ったのかな
幼いわたしは夏の空を見上げていた

不純物はいつしかわたしの体内に
溜まり続けていったのだろう

大空を飛べないわたしは
ただひたすらに地面を彷徨い続ける

残酷だねと君が言ったら
その通りだねと
わたしは乾いた笑い声をあげ
頷くだろう

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