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保母さんの弾くオルガンの音が聞こえる。 幼い僕たちが小さな手と手をつないで 輪を作ってお…
住所のメモだけが頼りだった。 地図はなく、電話番号もわからない。 もっとも、住所だけで十…
僕の家は五人家族。 お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん、そして僕。 「いい子にしてい…
マサト君という変な大人の知り合いがいて 僕の言う事をちっとも聞いてくれないので 僕は困っ…
オフィスを出ようとしていたら 女子社員のひとりに呼び止められた。 「これ、素敵ね」 彼女…
殴られた記憶がある。 かなり昔の話だが忘れてはいない。 殴られたら誰だって痛い。 誰だっ…
父が台所で料理をしている。 フライパンの上で卵焼きを作り その上に切り揃えたほうれん草を載せ さらに全体を筒状に丸めようとしている。 なかなかおいしそうだ。 だが、父の料理姿など見た記憶がない。 そもそも父は亡くなったのではなかったか。 いつの間にか、父の姿は消えている。 台所にいるのは母てある。 フライパンの上で牛肉を焼き その上に切り揃えたねぎを載せている。 それから全体を筒状に丸めるのだろう。 「おいしそうだね」 母に声をかけると、小言が返ってくる。
海岸なのに海は見えないのだった。 大男が大きなオートバイに乗り 砂浜を颯爽と横切ろうと…
夕闇の荒野をひとり くたびれた旅入が歩いていた。 遠く人家の灯りが見える。 頼めば泊めて…
若い頃、煙草を吸いすぎて気持ち悪くなり、 目を閉じて項垂れていたら 幻聴が始まった。 遠い…
あら、ダメよ。 まだまだ我慢して。 あせっちゃ、ダメ。 まあ、いやな目。 そんな顔、しない…
真夜中、見知らぬ女が訪れる。 「助けて。退屈のあまり死にそうなの」 なるほど、そんな顔を…
クルマは高速道路を走っていた。 「えっ、なに?」 返事がなかった。 「なんだよ?」 やはり…
意識の底へ沈もうと思う。 潜水艦に乗って 深く深く・・・・ まずハッチをしっかり閉める。 水漏れは死を意味する。 二度と浮上できなくなる。 小さな丸窓から意識の海が覗き見える。 ありふれた欲望や不安の魚が泳いでいる。 光が失われてゆく。 サーチライトを点ける。 双頭のウミヘビが視界を横切る。 閉じたり開いたりする洞窟のいびつな門。 漆黒の闇の奥で胎児が泣いている。 聞こえぬはずの泣き声さえ聞こえる。 オギャー オギャー オギャー 海ユリが鯨を飲み込もう