マガジンのカバー画像

箱夢の話集 第四集

529
ショートショート
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

【SS】あいまい宿

そこは海辺のようでもあり、 あるいは山奥のようでもあった。 またはどちらでもないのかもし…

Tome館長
4か月前
16

【SS】鬼が笑う

家のまわりをすっかり囲まれてしまった。 鬼どもの恐ろしい声がする。 「出てこい、出てこい…

Tome館長
4か月前
12

【SS】焚火の輪

宵闇に焚火が燃えている。 そのまわりを村人たちが囲み  歪んだ大きな人の輪になっている。 …

Tome館長
4か月前
15

【SS】踊り場の犬

巨大な百貨店を遵想させる建物。 その内部。 なぜこんな場所にいるのかわからない。 そもそ…

Tome館長
4か月前
9

【怪談】恐ろしい夢

そこで目が覚めた。 夢だったのだ。 とにかく恐ろしい夢だった。 まだ心臓がバクバクしている…

Tome館長
4か月前
13

【エッセイ】言わぬが花

「言うも花、言わぬも花。  同じ花なら、言うてまえ」 というわけで  皆さん勝手に喋ったり…

Tome館長
4か月前
19

【SS】おしゃべりな花

路傍に咲く可憐な花だった。 「お願い。あたしを摘んで」 そうつぶやいたような気がした。 根こそぎ抜き、家に持ち帰った。 すぐに小さな鉢に植えてやった。 「ありがとう。救われたわ」 可憐な声で花がしゃべった。 「あそこ、土ぼこりがひどかったの」 その花には表情まであった。 「踏まれる危険もあったし」 ただ黙って見つめていた。 いつまでも花はしゃべり続げた。 今年の変わりやすい天候の話。 自動車や通行人への非難。 ノラ猫とノラ犬の習性の違い。 「お水ちょうだい

【独白】大猫の町

ああ、大変! 小猫に餌をやったら大猫になっちゃった。 家の塀を壊して大猫は町に飛び出した…

Tome館長
4か月前
12

【SS】黄土色の雪

昨夜ひっそり雪が降ったため  舗装道路は滑りやすくなっている。 坂道の途中ではなおさらだ…

Tome館長
5か月前
6

【演説】遠隔操作

諸君、聞いてくれ。 我々は未知の何者かによって遠隔操作されているのだ。 似たような夢を見…

Tome館長
5か月前
9

【SS】映画館の噴水

高層ビルの地下にある映画館。 スクリーンには裸婦の背中が映っている。 その女の顔の前には…

Tome館長
5か月前
13

【セリフ】永遠の球根

やらなければならないんだ。 損とか得とか、そんな低次元の話じゃない。 仲間が死んでも、そ…

Tome館長
5か月前
13