困難な時代だからこそ
『たかがハーモニカ、されどハーモニカ 』
第7回 困難な時代だからこそ
今年で22回目となるはずだった恒例の「コアハーモニカコンサート」はコロナ感染の拡大で開催不能、8月まで集まることも練習場所も確保することもかなわなかった教室の仲間たちのモチベーションの持続を考えて、それなら「交流&おさらい会」にしようと内容の変更を打ち出したのですが、開催2ヶ月前になって仲間たちの意見を聞けば不開催とせざるをえない結果となりました。
コロナ禍のこの時代、観客を入れてのコンサートは難しい。だからといって中止というのはあまりにも安易、困難な時代であるからこそやり方を工夫して何かできないだろうか、ずっとそう考えてきた。
医療従事者を家族にもつ人は、身内に迷惑をかけられない。自分が感染者となってしまうことが恐ろしい。様々な事情、それぞれの理由は理解できる。それなら参加できる者だけでというのはアンサンブルとしては不合理極まりない考えだ。喧々諤々、議論も重ねました。分断だけは避けようとやむなく中止を決めました。
開催を楽しみにして懸命に練習をする仲間もいました。来年だってどうなるかわからない中で、これから何を目標に練習をしようかと言う仲間もいました。そういう仲間たちのことも真剣に考えなければなりません。大切なことはいかに仲間の結束を図り、目指す音楽を作っていくかということです。
来年はコロナでコンサートが開催できないことを前提に企画を考えよう。夏の早い時期に会場となるホールをおさえて無観客で感染防護策を講じて録音のための演奏会をしよう。録音した音源はCDにして聴いていただける人たちに届けよう。そんなアイデアを仲間たちに提案しました。
何もやらないという選択はエネルギーも要らず楽なこと。けれどその考えは僕の中にありません。最終的な結論はまだですが、ハーモニカを続ける情熱と喜びを未来へと繋ぐ企画を主宰者としては考えていかなければならないと強く思います。万が一、コロナが収束してコンサートが可能になったら急遽、コンサートに切り替えてもいい。そんな思いの中で、いまは仲間たちだけの収録演奏会の構想を膨らませています。
(2020.10ハーモニカライフ90号に掲載)
岡本吉生
-Profile-
日本唯一のハーモニカ専門店「コアアートスクエア」の代表。教室を主宰するほか、1996年にはカルテット「The Who-hooo」を結成。全国各地に招かれて演奏活動を続ける。
コアアートスクエア(月曜定休)
〒243-0303 神奈川県愛甲郡愛川町中津3505
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●コアアートスクエア Webサイト
http://www.harmonica.bz/index.html