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【コラム】8月2日はハーモニカの日

「8月2日はハーモニカの日」というプロジェクトが始動した。といっても特に大イベントを立ち上げようということでもない。ハーモニカを愛する者同士がハーモニカを吹く喜びを分かち合う。ハーモニカに感謝し、もっとハーモニカを元気にする日。「8月2日は……」という合言葉のもと、それぞれが、それぞれの場所でハーモニカを元気にする小さな取り組みを重ねて行こうという運動だ。もちろん、一大イベントを企画するという御仁には大いに奮闘していただく。それも素敵なことだ。

かつて高度経済成長時代というのがあった。消費は美徳、いけいけどんどん! 音楽の世界ではエレキギターが人気でエレキ・サウンドが時代を席巻した。ところが大阪万博の翌年にはドル・ショック、さらに石油危機と続き、大型不況が到来する。不況は慢性化してバブル崩壊が顕在化したのが平成3年のことだった。経済の右肩上がりが一転、右肩下がりに。エレキのかまびすしいサウンドに代わってアコースティックなサウンドが慕わしく心に響いた。そんな時代の局面で忘れられた楽器・ハーモニカの魅力が見直されつつあった。もちろん、それは先人たちの努力とアイデアによって加速されたのだった。

昭和52年、「ハーモニカ150年祭」のキャンペーンを展開。4年後の昭和56年、「ハーモニカ渡来85周年」の記念イベント、平成7年には「ハーモニカ渡来100周年」を記念した「国際ハーモニカフェスティバル」が横浜で賑やかに開催され、平成14年には日本初開催となる「アジア太平洋ハーモニカ大会in厚木」も成功裡に幕を閉じた。それらを中心的に担ったのが斎藤壽孝氏をはじめ全日本ハーモニカ連盟の真野泰治会長以下、多くのハーモニカ愛好者たちだった。ハーモニカにスポットライトがあたり、ハーモニカを手にする人が増えた。そんな空気の中でハーモニカを吹くことは誇りにさえ感じられた。

以来20年、ハーモニカは高齢化やコロナ禍などによって再び沈滞化に向かっている。最近のウクライナ戦争勃発など、人々は分断と隔たりを生む社会に生きている。私たちは音楽でつながりたい。ハーモニカでつながりたい。そして心の平和も実現したい。いま、みんなで「8月2日はハーモニカの日」を合言葉に、先人たちの努力に報いたい。ハーモニカの魅力を広くアピールして、ハーモニカをもっともっと元気にしたい!

(2022.7 ハーモニカライフ97号に掲載)

岡本吉生
-Profile-

日本唯一のハーモニカ専門店「コアアートスクエア」の代表。教室を主宰するほか、1996年にはカルテット「The Who-hooo」を結成。全国各地に招かれて演奏活動を続ける。
コアアートスクエア(月曜定休)
〒243-0303 神奈川県愛甲郡愛川町中津3505
Tel:046-286-3520

●コアアートスクエア Webサイト
https://www.core-harmonica.com/