見出し画像

ある女郎花の生涯R おみなえしと読む

仕事で三ノ輪にある寺に行ったとき、お女郎さんの遺骨が何万となく
活けられていることを知りました。貧しかったころの日本の哀しい歴史の
負の遺産でしょう。

女郎花(おみなえし))
 
抱かれた数など おぼえちゃいないが
その名も哀しい おみなえし
花の盛りは とおにこえたか
小さな酒場の 窓に咲く
 
ひとりくらいは いや思い出さない
あまりにむかしのことじゃないか
 
だましたんだか だまされたんだか
その名も侘し(わびし)おみなえし
その気にさせたは 女のさがか
すがって甘えて みせた昔も
 
花を責めるなんざ 酷な話さ
咲くのに精いっぱいだったのさ
 
ドアベルなれば 振り返つてみる
その名も 哀れ おみなえし
帰って行った 男の背中
数えりゃ夜の 風が泣く
 
それでも心に 心に残る男
どうしているかねえ あの男
 
夢を見るなと 言った男に
その名も 切ない おみなえし
時には夢を 掛けもした
千切れて咲いた 花一輪
 
ほんのいっときの夢だったんだよ 
幸せだったさ 夢のさなかはね
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?