見出し画像

シンダーガードのフォーシームは配球の見直しによって進化する

先日、ベースボールチャンネルを拝見したところ面白い記事がありました。「シンダーガードは直球を増やすべき?MLB公式がデータをもとにさらなる進化のカギを分析

メッツのノア・シンダーガードが今季フォーシームの割合を増やす方針で、それが成績にどのような変化をもたらすのかという内容です。

記事のポイントを以下にまとめました。
①データ上はシンカー(ツーシーム)よりフォーシームの方が優れている。
②フォーシームは球速が速い割に空振り率が低い。
③同投手が活躍しているカギはゴロ率の高さ。

結論は「三振を奪いに行くのは賢明ではない」とのことでした。

当ブログの結論をまず述べると「シンカーを減らしてフォーシームの割合を増やす。フォーシームをストライクゾーン高めに投げる。」
つまり、三振を奪いに行くべきということです。

その記事ではシンダーガードのフォーシームは回転数が少ないことにより空振り率が低いということが指摘されています。しかし、空振り率が低い最大の要因はフォーシームの配球コースにあると当ブログは考えています。

以下の画像は同投手のフォーシームの通算コース別配球割合です。(捕手目線)
右打者から見ると外角真ん中や低めゾーンを中心に同投手がフォーシームを投げ込んでいることが分かります。

以下の画像は同投手のフォーシームの通算コース別空振り率です。(捕手目線)
フォーシームの空振り率が高いのはストライクゾーン高め周辺ということが分かます。逆に低めゾーンの空振り率が低いということも分かます。

2つの画像から分かる通りシンダーガードはフォーシームの空振り率が低いゾーンに今まで多くの球を投げ込んでいたということです。結果、約98マイルというメジャーでトップクラスのフォーシームの平均球速を誇るにも関わらず、空振り率が低い大きな要因となっていると考えられます。

すでにアストロズがこのフォーシームの配球改革で空振り率の改善に成功しています。昨年1月にトレードでパイレーツから移籍してきたゲリット・コールが代表的です。
以下の画像はパイレーツ時代の2017年のフォーシームのコース別配球割合です。 (捕手目線)
シンダーガードと同じフォーシームの配球をしていたことが分かります。

以下の画像はアストロズ移籍後の2018年のフォーシームのコース別配球割合です。(捕手目線)
明らかにフォーシームの配球コースが低めではなく高め中心になっていることが分かります。

コールはフォーシームの配球コースを変えた効果もあり、フォーシームの空振り率が17年の9.07%から18年は15.20%へと大幅に改善されています。

シンダーガードもコールと同様にフォーシームを右打者の外角真ん中や低めのコースに集めるのではなくストライクゾーン高め周辺に配球を変えることで、フォーシームの空振り率の改善そして奪三振率の向上にも繋がると考えられます。
また、シンダーガードの場合もシンカーよりもフォーシームの方が空振りが取れるためシンカーの割合を減らしフォーシームの割合を増やす方が賢明です。

メジャートップクラスのフォーシームの平均球速、抜群のコントロール、空振り率が高いスライダーなどの変化球を持ち合わせているシンダーガードはフォーシームの配球を変えることで「メジャー最強投手」と呼ばれるに相応しい成績を残す可能性があります。

※メッツ首脳陣がこのような配球をするかどうかは不明です。今のところそのような傾向はありません。また、ただフォーシームの割合を増やしても大きな成果は得られないでしょう。

画像の出典
brooksbaseball
http://www.brooksbaseball.net/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?