私的偏愛録 其の二十二 映画『リンダ リンダ リンダ』

 先日、次の予定までしばらく空いてしまい、さて、どう時間をつぶそうかと周辺の喫茶店や本屋を探していたところ、ちいさな映画館を見つけた。しかも、限定上映でわたしの好きな映画のひとつ、『リンダ リンダ リンダ』をやっているではないか。
 『リンダ リンダ リンダ』は今まで、DVDでしか観たことがなかった。4人の演奏を大音響で聴いてみたいし、4人の青春をスクリーンでのぞいてみたい。そんな気持ちがふつふつと湧き上がり、久しぶりに映画館に行くことにした。
 結果、スクリーンで観る『リンダ リンダ リンダ』は最高であった。青色が似合う映画だな、と改めて思った。
ペ・ドゥナが歌うブルーハーツ、最高。
文化祭で恋を育む前田亜季、最高。
友人と揉めて悩んで向き合う香椎由宇、最高。
淡々と演奏し、青春する関根史織、最高。
(松山ケンイチも最高。ペ・ドゥナへの告白シーンで笑っていた人が何人かいて、何だか嬉しかった。わたしも何故だか笑ってしまうから)
 もう一生経験することができないと分かっているからこそ、他人の青春は最高に見えるんだよなぁ、と呟きながら。わたしは、次の目的地へと歩いて行った。イヤフォンからはブルーハーツの「終わらない歌」が流れていた。
 
 
 

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