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夏の終わりはいつも
夏が好きだ。匂いも色も景色も。暑いということさえも、苛苛しながら仕方ないと受け入れるほどに。
昔読んだ漫画のセリフだ
「夏って1つの区切りのように感じます。そして、いつも寂しくなるんです。今年も何も変われなかった、成長しなかったって」
(みたいな事だった気がする。)
小学生の頃から、夏休みという1年に1度のひと月を越える長期休みを与えられていた私たち。学校に行かず、自身の生活に改めて向き合う時間だったのだと今更ながら思う。
ぼんやりとした日差しの中やったラジオ体操も、普段見ることのなかった平日の昼のテレビも、特別であり有限なものだった。目的を持った人間だけが、成長を自分と約束した人間だけが、あの時間を大切に過ごすことができるのだろう。
言わずもがな私はそうではなかった。今年こそは、と早めに手をつけた宿題も、手間のかかる自由研究と読書感想文の前には手が止まる。そして、最終日まで好物のように取っておくのだった。
大人になった今、相変わらず私は夏を無駄にすごした。行こうと思っていた旅行も、海すらも見ていない。7月始めに練った計画も、行動力がなければ絵空事でしかなく、私の予定は仕事で埋め尽くされてしまうのだった。
これといったことがなく、夏が過ぎようとしている。
きっと私は何も変わっていない。
その割に、この季節が1つの節目だと感じることに変わりはない。
また1年、私は履きなれた靴と少し汚れたメガネをつけてこの世界を歩く。
来るかどうかも分からない、サプライズに似た変化の瞬間に期待して。
夏に私は手を振った。
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