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原油急落と債券市場

3月8日サウジアラビアが自主的な石油減産を取りやめて、石油増産に転じる意向を示したことでUS原油が一時30%を超える大幅下落となりました。

これはロシアとの減産交渉が決裂したことをキッカケに、原油価格下支えからシェアを重視した取り組みへ大きく転換したことを意味していると考えています。

ただでさえ新型コロナウイルスで原油需要が低下しているのでサウジアラビアの戦略的な取り組み変更で今後も原油価格の下落は続くと思います。
私が思うにサウジアラビアは原油シェアをロシアやアメリカに阻まれているという思いが、今回の増産意向へ繋がったのではないかと考えています。

原油の急落によってロシア・ルーブル(対ドル)は大幅下落となっています。

ロシア・ルーブルの下落はロシア経済に大きな影響を与えます。
通貨下落によって輸入品の価格が上昇して内需市場に大きな傷がつく可能性があります。

一方、アメリカの石油会社も原油急落で大きな打撃を受けることになります。
代表的な米石油会社であるエクソン・モービル株のチャートです。

原油急落によってエクソン・モービル株も大幅下落となっています。
エクソン・モービルに限らずアメリカの石油会社は債務比率が大きく、ジャンク債を発行して資金調達をしています。
このまま原油価格の低迷が続くと石油油田の採算ラインを大幅に下回ることになります。
最悪の場合、ジャンク債の債務不履行になる可能性もあります。

これらのリスクが現実になれば社債市場が急落します。
社債市場では金利が上昇し始めており、社債の金利が上昇すると国債の金利も上昇することになります。
そうなれば債券市場も急落します。

つまり、原油の急落は原油市場や関連市場のみならず、債券市場の急落にも繋がるリスクがあるということです。

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