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原油市場と衛星画像

リテール投資家に人気なネット証券『ロビンフット』では先週末比で5万人以上が原油ETFの取引に飛びついた。
安くなった原油市場で底入れを期待する個人投資家が急増している。
しかし、先日のEIA(米エネルギー情報局)の統計によると、米民間商用在庫量は3月末時点で約4億7000万バレルある。
調査会社ライスタッド・エナジーによると今後、受け入れ可能な在庫量は輸送用パイプラインを含めても約3億1100万バレルしかない。
4月は9000万バレル増える見通しで、米政府が戦略石油備蓄を活用するとしても効果は限定的だ。

商品市場全てに言えることだが、下落する相場で新規マネーフローや、未決済建玉が増加することは危険だ。

原油市場が急落する前の4月4日にMFI(マネーフローインデックス)が急上昇している。
これは個人の新規マネー流入を意味しており、下落の圧力がかかると個人マネーはストップに追い込まれ、市場全体の下げ幅が拡大する。
この構図と同じことが現在でも起きている可能性がある。

現在、投資家は衛星画像を使いリアルタイムで在庫を把握している。
週間EIAを待たなくても在庫状況をリアルタイムで入手できる。
衛星画像で注目されているのは原油タンクの蓋と影。
原油タンクの蓋は固定式ではなく、原油の上に浮いている。
そのため原油タンクを上から観察すると、原油タンクの壁面の影で浮いた蓋の高さが分かり、そこから原油残量が分かる。

もちろん、目で見て原油残量を判定することは困難なため、原油市場に目をつける投資家は衛星分析サービスやAIを活用している。

中でも「Ursa Space Systems」というサービスは原油トレーダーに向けて、衛星から撮影した画像を用いて、世界中の原油貯蔵庫のレポートを出している。

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