![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/453232/rectangle_large_a990244846e894037f1d0a14fea660de.jpg?width=1200)
第23話 母の話-可愛い小人
怖い話、不思議な話を集めていると、ときおり耳にする存在がある。
小人である。
「白雪姫」など、童話ではおなじみのものだが、考えてみると、分類が難しい代物だ。
日本風に解釈するなら「妖怪」や「八百万の神の一種」、というところだろうか。
そんな小人を「見た」という人がいるのだ。
本作にたびたび登場しているうちの母親も、その1人である。
「見たのは、すごく可愛い小人だったわ」
若いころ、住宅街を歩いていて、見つけたという。
夕暮れ時のこと。
ふと気づいたら、真正面からなにかがスーッと進んでくる。
小人だった。
身長は20cmくらい。
古いことなので、顔立ちなどはハッキリ覚えていないが、とにかく「可愛らしい」というイメージがあったそうだ。
小人は真っ直ぐに進んできて、母の前まで来ると、パッと消えた。
今のは何だったのか?
あっけにとられていると、小人はまた母の真正面、少し離れた場所に現れた。
さっきと同じように、スーッと近づいてくると、また目の前でパッと消えた。
同じことが、4回続いたという。
「おかしい人、と思われるから、あまり人に話したことはないんだけど」
たしかに、ぼくも最初に聞いた時には、どう受け取っていい話か、判断に迷った。
今でも、迷うところだが、たくさんの人に話を聞いてきて、ただ一つ言えることがある。
見える人の多くは、霊だけでなく、そういう不思議も見てしまうもののようだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?