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第23話 母の話-可愛い小人

怖い話、不思議な話を集めていると、ときおり耳にする存在がある。

小人である。

「白雪姫」など、童話ではおなじみのものだが、考えてみると、分類が難しい代物だ。
日本風に解釈するなら「妖怪」や「八百万の神の一種」、というところだろうか。

そんな小人を「見た」という人がいるのだ。
本作にたびたび登場しているうちの母親も、その1人である。

「見たのは、すごく可愛い小人だったわ」

若いころ、住宅街を歩いていて、見つけたという。

夕暮れ時のこと。
ふと気づいたら、真正面からなにかがスーッと進んでくる。
小人だった。

身長は20cmくらい。
古いことなので、顔立ちなどはハッキリ覚えていないが、とにかく「可愛らしい」というイメージがあったそうだ。

小人は真っ直ぐに進んできて、母の前まで来ると、パッと消えた。

今のは何だったのか?
あっけにとられていると、小人はまた母の真正面、少し離れた場所に現れた。

さっきと同じように、スーッと近づいてくると、また目の前でパッと消えた。

同じことが、4回続いたという。

「おかしい人、と思われるから、あまり人に話したことはないんだけど」

たしかに、ぼくも最初に聞いた時には、どう受け取っていい話か、判断に迷った。

今でも、迷うところだが、たくさんの人に話を聞いてきて、ただ一つ言えることがある。
見える人の多くは、霊だけでなく、そういう不思議も見てしまうもののようだ。

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