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第43話 自分の話-掘り出す

どこかで見た怪談に、タイムカプセルの話があった。

久しぶりに同窓会で出会った友人と、「昔埋めたタイムカプセルを掘り出しに行こう」という話になる、というもの。

記憶にある場所を掘ってみると、出てきたのは、当時、行方不明になった少年の白骨死体。

「思い返してみると、そもそもタイムカプセルを埋めたことなどなかった」

後に友人と、そう確認し合った、というオチがある。

この話を妻にしてみたところ、おかしいという。

「埋まっていた少年が、見つけてほしくて仕組んだことなら、なぜ何年もたってからなの?」

たしかに……。

これが事実だった、という仮定の下で、少し考えてみた。

多くの人から話を聞いていると、なんとなく「霊」というものの持つ共通の特性が感じられてくる。

その一つに「思いを発信している場合も、多くは漠然としていて、受信する側とよほど同調していない限り、意識されたり、理解されることは少ない」ということがある。

さて、このタイムカプセルの話。

同窓会の席ゆえ2人は、小学生時代の思い出に、強く意識のアンテナをを向けただろう。

一方、少年の霊は「見つけて、掘り出して」という思いをずっと発信していたのかもしれない。

その思いを無意識の領域で受信することになったら……。
「小学生時代の思い出」「見つける」「掘り出す」……すなわちタイムカプセル、となってもおかしくはない気がする。

いかがなものだろうか?

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