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第13話 従姉の話-そのままでいいのか

父方の伯父は膵臓がんで亡くなった。
発見された時にはすでに手遅れで、医者にできたのは、痛みをコントロールすることくらいだった。

残された時間で、伯父は本家の墓を整備し、自分の葬儀の段取りを整えた。
実にきれいな死に方だった。

ただ、亡くなった後も数年間、「伯父」は家にいたらしい。

伯父の妻と娘、ぼくにとって伯母、従姉にあたる2人の女性は、昔からかなり強く「見える人」だった。

「あ、お父さん今通ったね」

家の中で、彼女たちはごく当たり前のように、そう言っていた。
ただ、伯父の霊は歩き回るだけで、話をすることはなかったという。

そんなある日、従姉の枕元に伯父の霊が立った。
そうして言ったのだ。

「お母さんのこと、そのままでいいのか?」と。

当時従姉は、実家のある兵庫県を離れ、千葉県で暮らしていた。
目を覚ますとすぐ、彼女は母親に電話を入れ、健康診断を受けるよう強くすすめた。

膵臓がんが見つかった。
幸い、早い発見だったため、手術は無事成功し、母親は助かった。


以来、伯父の霊を見かけることはなくなったそうだ。

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