第45話 友人の話-テスト
「見える」ことを仲間内で知られると、時に困ったことも起きる。
「最初は車の音かと思ったんですけど」
友人宅にリサさんが泊まった時のこと。
二階の部屋に案内され、寝入ったのだが、すぐにふと目が覚めた。
なにやら騒々しい音を耳にしたのだ。
ザーザーともズーズーとも聞こえる、かなり耳障りな音だった。
車が通る音かと思ったが、友人宅は幹線道路から奥まった住宅街ある。
深夜、そんなにうるさく車が通る場所ではない。
「なんなの?」
夢うつつの中、ボンヤリ音を聞いていた。
しばらくして気がついた。
音は、部屋の中からのものだった。
目を開け、常夜灯がつけてある室内を見渡す。
来客用の寝室として、ときどき使われている部屋なのだろう。
部屋の隅には、リサさんが使っているものとは別に、マットレスがたたんであった。
音は、そのマットレスから聞こえてくる。
翌朝、そのことを告げると、友人は微妙な顔で笑った。
「ああ、やっぱり聞こえたんだ」
くだんのマットレスは、つい最近亡くなった親戚が使用していたものだという。
肺の病気で、最後は息をするたびに「ズズー、ズズー」とひどい音を発した。
そう説明すると、友人はマットレスの上に盛り塩を置いた。
あずきを載せた、本格的な盛り塩だった。
マットレスに怪異があるものか調べるため、その部屋に寝かせたのでは?
リサさんは少し怒っている。
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