映画館から出てこられない

 映画館に毎日のように通うようになったのは2023年の8月下旬だ。私は今でも映画館に毎日のように通っている。たぶんそろそろ映画館のスタッフさんに顔を覚えられていてもおかしくない頃だ。
 そんなにロングランでやっている映画はたぶん「君たちはどう生きるか」くらいだと思う。しかし今回はそれではないのである。私の過去のnoteを見ていただければ一目瞭然だが、私が映画館に通い詰めるきっかけになったのは「アイドルマスターミリオンライブ!」のアニメである。10年待ったアニメの先行上映、前売りを39枚買ってフォロワーに配って自分でも何度も見に行って第三幕に関しては週5で通っていた私だが、元々映画館に行くのはかなり好きだ。

2023年映画遍歴


 映画好きにもいろいろあると思うが、私は気に入った映画を複数回観に行くタイプの映画好きだ。というのも、文字以外の情報処理がいまいち得意ではない人間なので、一回ではせっかく詰められた情報を処理しきれないためである。何本も観に行くタイプの人がちょっと羨ましかったりする。
 まあ今回はそれとして。2023年は私にとって最高のバディに始まり最高のバディで終わる映画の一年となった。
 まず新年一発目に観たのが「RRR」。新年早々景気良く吹っ飛ぶ人類が最高だった。これも結構なロングラン上映だったと記憶している。もう一回見たいなーとか思っているうちに終わってしまった。これは三回くらい見た。
 それからしばらく別の趣味で忙しく、次に観に行ったのは先ほども名前を挙げた「君たちはどう生きるか」だ。めちゃくちゃ面白かったと思うのだがその話をするとnote一本書けちゃうので割愛。もう一回見たいけど必要カロリーが多い。
 そしてミリアニ公開直前に見に行った響け!ユーフォニアムアンコン編である。初めて泣かずに済んだユーフォになった。出身吹奏楽部がアンコンに基本興味が薄かったおかげである。4月からのアニメも楽しみ。
 からの!10年待ったミリアニである!
 これは別のnoteに感情を爆発させているのでそちらを確認していただければと思うが、これだけクソ恥ずかしい真夜中ラブレターみたいなnoteを拡散され読まれいいねされたのだからバンナムは私に何かくれてもいいんじゃねえのかとちょっとだけ思う。ちょっとだけ。Act4両日参戦予定ですので狭間和歌子氏に面会したいです。
 あんな感情を爆発させたくらいなのでまあ当然のように映画館に通った。豊洲にも通った。豊洲もラストじゃない!?って言われてた応援上映にも行った。全然ラストじゃなかった。ユナイテッドシネマ豊洲さんありがとう。
 ミリアニの先行上映が終わって少ししたくらいで身内に不幸があり大変忙しくなった。正直ミリアニの10話を正面から見るのもキツいような家庭状況になりへろっへろになっていたところに信頼フォロワーの映画ツイートが目に入った。そう、ここからが本題「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の話である。
 映画館のいいところは24時間気を抜いたらスマホを見ているタイプのオタクを強制的にスマホから隔離し画面に集中させてくれるところだと思う。映画館というのはある種の現実逃避に最適な場所で、なんかもう全部投げ出して違う世界に入り浸りたいなって気分の時にはカラオケか映画だと思っている。そういう思考回路の人間なのでうかうかゲ謎を観に行った。世に言う入村である。

 結果から話すと、第三幕ぶりに一回見た映画をその場でチケットを買ってもう一回見たくなった。なんというか、面白いとか面白くないとかでなくもう一回見せてくれ、という気持ちになる映画なのである。


沼を抜けて息抜きに行ったら沼

 ざっくりあらすじをネタバレにならない程度に紹介すると、鬼太郎誕生ゲゲゲの謎はかの有名なゲゲゲの鬼太郎の父たちの物語である。あの目玉親父である。Twitterで「令和に覇権取る目玉親父」ってポスト見てゲラゲラ笑っていたのに完全にミイラ取りがミイラになった。春コミ出ます、対戦よろしくお願いします。
 正確に話すならアニメゲゲゲの鬼太郎6期の前日譚という設定で作られた6期の枠の映画だそうで、他のゲゲゲの鬼太郎すべてに通じる話というわけではない。
 ミリアニを観に行った時にやっていた予告には1ミリも出ていなかった水木という男が主人公というか狂言回しというか視聴者の視点に近いメインのキャラクターで、人の形をしていた頃の目玉親父と一緒に何やらいろいろありそうな村でガチャガチャいろいろとやっていくというのが話の大筋になるのだが、まあびっくりするくらい「女の子ってこういうのが好きなんでしょ」がそこかしこに散りばめられている。散りばめられているのである。みんながこの要素が好き!という明確な何かはないが、どこかしらにトラップのように仕込まれた好きな要素がある恐ろしい映画だった。私は顔面に傷のある真っ当な職に就いている男が大好きなのだが、予告で1ミリもその御尊顔をお見せでなかった水木という男が登場1秒で心を撃ち抜いていった。そんなんありかよ。予告に出せ。
 予告だけなら見たミリオンライブのオタクもそれなりにいるのではないかと思う。キラくんと1945年にタイムスリップしたJKほどは流れていなかったと思うが、言わずとしれたあのテーマソングのアレンジに「妻を……返してほしいんじゃ……」だけ流れてたアレが人外と人間のバディで脇役が全然脇じゃない人生歩んでた村をめちゃくちゃにしていく話だと誰が予想できるだろうか。予想できてるか水木のビジュアルが予告にあったら封切りから通っていた。
 とにかくすんごいやんばい映画なのである。なんかもう情緒とかいろんなものをめちゃくちゃにされて友達と二回目を見に行って気がついたらもうずーっと二次創作を見て回るようになっていた。沼って怖いね。足を滑らせたら底まで一直線である。異次元フェスでこれになってるオタクたちの横で私は水木しげる作品をめちゃくちゃ調べ始めてた。わかるわかるよ君の気持ち。ジャンル全然違うけど行動は同じ。


思いがけない親和性

 と、まあ勢いよく頭から沼の底まで突っ込んでいったのだが、繰り返し見たりスタッフさんの諸々を見たりしていく中で感じたのが、ミリアニとの親近感である。いやジャンルは全然違うのだが、私が映画館から出てこられなくなっているのは似た質感を感じているからというのが大きいと思う。

  • 発表から数年かけて準備をしている。

  • 関係者の中に原作や派生作品を愛している方がいて、適度に口出しを許される立場にいた。

  • 一瞬しか映らないシーンや、登場している時間の短いキャラクターにもしっかりとバックボーンがあり、練られている。

  • とにかく関係者の愛とリスペクトが感じられる。

  • 未来に繋がる物語

  • そこから入ったオタクたちが派生作品や原作に触れるきっかけになっている

  • 人外フィジカルのキャラクターのとんでもねえアクションシーンがある

 最後のやつはちょっとネタであるとしても、私としてはここまで並べてもミリアニとゲ謎の判別がつかないのである。流石にミリアニの方が年数かかっているのだけれど、公式から発表されてから公開までの年数で言えばたぶんかなり良い勝負。そんなアニメ映画を同じ年に続けて公開されてるのなんていうミラクルなんですかね。
 正直言えば、ミリオンライブのオタクの贔屓目抜きにしても、ここまで丁寧に練られた(賛否がないとは言わない)群像劇のアニメで自分が好きになれるものにはなかなか出会えないだろうなと思っていたところに横っ面をぶん殴られた感じの衝撃を受けた。いや本当になんで同じ年に続けて公開されてるんですかねこれ。ミリアニで貯めた映画館のポイントがもう溶けたのでここからは自腹での入村です。ミリアニ今までありがとう、君のくれたポイントは忘れない。
 まあ何が書きたかったかというと、ゲ謎から6期追ってるオタクは胃薬にミリアニ見てくれ、ここまで親和性があるんだ。
 ミリアニ通ったオタク、どうせポイント貯まっているだろうから一回くらい話の種に見に行かないか。ロングランになっているのでまだやっていますよ。

 あとどうでもいい話ではあるけれど、ゲ謎には前述の水木という男と沙代さんという女の子のキャラクターがいるのだが、私のXくんのおすすめ機能は完全に日本語に振り回されて今まで全然検索したことのない「みずさよ」をお出ししてくるようになった。違うんだ……確かにどっちもみずさよではあるんだけど何もかも間違ってるんだ、勘弁してくれ。同じ症状に悩まされているオタクに出会いたいので助けてほしい。


今年すでに見たい映画が多すぎる

 というわけでもうしばらく村に入り浸る予定ではあるのだが、見たい映画が多すぎる。
 まず封切りされたばかりの実写版ゴールデンカムイ。評判が悪くないのもあるけれど思い入れがそこまでない漫画の実写化に立ち会えるのが初めてなのでにわか知識で全力で楽しみたいのである。なんかどえらい筋肉質な男たちと変態が揉めると羆が出てきたな、くらいの記憶しか持ち合わせていないが、実写映画は漫画なんて普段微塵も読まないような層もターゲットになっているはずなので楽しめるはずだ。見たい。
 あとはアクアマン。アメコミ大好きの友人と前作を見に行って普通に面白かったので楽しみにしてた。体調不良で今週行く予定だったのがダメになったので来週の上映日程に戦々恐々。終わるな。
 それからカラオケ行こ!も見たい。ゲ謎の客層が女オタクだらけになっていた頃に予告で流れるたびにじわ沸きしていた作品なのでたぶんオタクたちが行って支えて来週以降もまだ見られると信じている。原作未読だが信頼してるオタクたちが先日発売された後日談だか続編だかでローリングしていたのでたぶん面白い。映画館でやってる間に見たい。あとなんか貴重な平和な綾野剛だって綾野剛の方面が沸いてるのも観測したのでその意味でも楽しみです。推しの普段と違う芝居、いいよね。


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