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私のダンナが辞めるまで⑦

ジュニア

社長には部長を任せている息子がいた。良く言えば裏表がない、悪く言えばキツイ、怖い人だった。
入社したての頃は新入社員を集めて何度か食事の場を設けてくれたが、直属の上司ではなかったためそれっきりだった。
私たちは先輩に頼んで、食事会を開いてもらうことにした。

意外な素顔

社長ジュニアは私たちの誘いを快く受けてくれた。先輩とジュニアの話が一段落したところで、今夫と私が置かれている状況を話した。
仕事中はジャックナイフと呼ばれ恐れられている人なだけに、面倒を押し付けるな!などと言われる覚悟だった。
ところが、ジュニアは私たちの話に何度もうなづいた後、「うん。分かった。俺から社長に話すよ」と笑顔を見せた。

理由

先輩と夫が煙草を吸いに出て、ジュニアと2人になった。直属の部下でもない私たちのお願いを何故聞いてくれたのか、私は彼に訪ねた。

「入社歓迎会の時に、俺の部下になりたいって言ってくれたよね。そんなこと生まれて初めて言われたから嬉しくて、何かあったら助けてあげたいと思ってた。頼ってくれてありがとう。」

張りつめていた糸が切れたように、私は泣いてしまった。3年前、歓迎会の二次会で私が言ったことを彼は覚えていたのだ。

2日後の役員会で、ジュニアが社長と役員を説得することになった。

つづく…


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