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8.ルーパ・ロマーナ像
昔々、アルバ・ロンガ(長く白い都市)という地に、ヌミトルとアムリウスという兄弟がいた。兄のヌミトルは王様となり、弟のアムリウスは財産と領土を受け継ぐはずだった。ところが、アムリウスは兄から王位を奪い、兄の息子(自身の甥)であるラウススを殺し、さらに兄の娘であるレア・シルウィアを子供がつくれないように巫女とした。それでも、レア・シルウィアは軍神マールスと結ばれて、ロムルスとレムスという双子を生んだのだが、この双子もアムリウスによって連れ去られ、川に流されてしまった。流された双子は、オオカミの乳を飲んで育った。
ロムルスとレムスはやがて大きくなり、祖父であるヌミトルと偶然出会う。そして、双子の兄弟は反逆者であるアムリウスを倒し、ヌミトルを復位させる。やがてロムルスは国をつくることになるのだが、自分の名前からその国を「ローマ」と名付けた。
つまりこれは、ローマ建国の伝説なのであるが、このストーリーに登場する「狼の乳を吸うロムルスとレムス」が、この『ルーパ・ロマーナ像』なのである。彫刻としてはよく使われる普遍的なモチーフで、中でもローマの「カンピドリオ広場」にあるルーパ・ロマーナ像は有名である。
日比谷公園にある『ルーパ・ロマーナ像』は、1937年(昭和13年)にイタリアから東京市に寄贈されたもの。1937年と言えば、前年に日本とドイツとの間で締結した日独防共協定にイタリアが加わり、日独伊三国防共協定が結ばれた年。
日本ではちょうどこの頃、国家間の友情と親善を祈願して日本人形を贈るという活動が行われていた。1927年にアメリカからたくさんの「青い目の人形」が贈られてきて、そのお礼として日本からは市松人形がアメリカへ贈られた。その後も、国家間、あるいは草の根運動として親善人形を贈りあうという活動は続けられていた。
1937年の日独伊三国防共協定締結に際し、国際人形協会によりヒトラーやムッソリーニらに日本人形が寄贈されたとある。このルーパ・ロマーナ像は、イタリアを象徴する銅像として、その親善を願ったプレゼント交換の一環としてイタリアより東京に贈られてきたものかもしれない。
ル一パロマ一ナ (ロ一マの牝狼)
この彫像は、昭和13年にイタリアから東京市に寄贈されたもので、ロ一マ建国の大業を成し遂げたロ厶ルス、レムス「兄弟の有名な伝説に基づいた像です。幼い兄弟は、祖父を殺し王位を奪ったアムリウスによってチべル河に流されましたが、忽然と現れた一匹の牝狼に助けられ、その乳を飲んで成長し、成人した兄弟は祖父の仇を討ちロ一マを統一したと言われています。
参考資料
都立日比谷公園(Hibiya Park, Tokyo) 園長の採れたて情報
https://twitter.com/ParksHibiya/status/613973871981531136
「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。