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13.古代スカンジナビア碑銘譯

日比谷公園にあるこの石碑は、欧州日本間をつなぐ北極航路が開設された10周年を記念して、スカンジナビア航空から1967年に贈られたものである。表面には、古代北欧バイキング文字が刻まれている。

いったい、なにが書かれているのだろう。

北ヨーロッパのスカンジナビア地方のバイキングたちは、ルーン文字を使っていた。Wikipediaに、ルーン文字とアルファベットの対応表がある。それを見ながら、石碑の左下の文字を解読してみると、なんとなく「スカンジナビア」と読める。ここで、「あ、いけるかもしれない」と思った。このルーン文字は、装飾のためにランダムに描かれているのではなく、きちんと文字として何かのメッセージを伝えようとしている。文章の途中でローマン数字が入っているのも、ますます本物の文章っぽい。

というわけで、この日比谷公園の『古代スカンジナビア碑銘譯』の解読を始めた。Wikipediaのルーン文字対象表と、Google翻訳を使って。

まず、すぐにこれは英語ではないなと気づいた。スカンジナビアだから、可能性としてはデンマーク語か、スウェーデン語、ノルウェー語あたり。とりあえず、ルーン文字対象表を見ながら、わかる文字をどんどん書き込んでいった。スカンジナビアの「u」と「v」は、ルーン文字では同じナイフの先のような形の文字を割り当てている。スカンジナビアのつづりから、まず「s」、「n」、「a」、「d」、「r」、「l」あたりはすぐに見当がついた。大文字のBのような形をした文字が「p」だというのに気付くのに少し時間がかかった。「i」だと思っていた文字が実は2種類あって、真ん中に点が付いているものが実は「e」だということにようやく気付いたら、同様に「k」に点がつくと「g」だというのもわかってきた。ここまで、およそ1時間の試行錯誤を続けつつ。

文字をあてはめ、Google翻訳でいろいろ翻訳していったら、どうやらスウェーデン語で一番それっぽい文章が出てくることに気づいたので、スウェーデン語に英語や日本語の単語を使って逐次翻訳していって、なんとなくそれっぽい単語と意味にならないかを試していく。

ローマ数字は、割と簡単である。「XXIV」は24。「MCMLVII」は、1957。そもそもこの石碑は、1957年2月24日にスカンジナビア航空が北極航路10周年を記念して建てたもの。24も、1957もそれにぴったり当てはまる。だんだん、単語が見えてきた。日本とか、ヨーロッパとか、北極とか。iapan、europa、nordpolenという単語が見えてきたことによって、どのルーン文字の記号がどのアルファベットなのかが分かってきた。

だいたい文章になったので、「u」を「v」にしたり、「k」となってるけど本当は「g」じゃないかなぁという部分を入れ替えていく。ここは、なんとなく感覚で。もしかしたら私が間違っているかもしれないが。「melan」とある部分は、たぶん「medan」の間違いだと思う。ぱっと見、ルーン文字の「d」と「l」とは似ているので。

というわけで、結果は以下のとおりになった。

skandinaver opnade luftuagen medan iapan og europa ofer nordpolen den 24 fibruari 1957 og reste dena sten til hogkomst tio ar senare

日本語にすると、だいたいこんな感じ。

スカンジナビアが日本とヨーロッパを北極を通過する空路を開始した1957年2月24日から10年後に石碑を建てる。

暗号解読ゲームのようで、楽しかった。

単なる石のオブジェだったものが、解読した途端に意味を持ったメッセージの記念碑となり、いきなりまったく違って見えてきた。

参考資料

都立日比谷公園(Hibiya Park, Tokyo) 園長の採れたて情報
https://twitter.com/ParksHibiya/status/848732595684687872
https://twitter.com/ParksHibiya/status/1645985590192775173


「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。