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『優美堂のこと』

私は昔からわりと、後先考えずに飛び込んでしまう性格で。海外に一度も行ったことがないのにいきなり渡米留学してみたり。大学ではマジメに「人類学」を学ぼうとしていたのにいきなり「アート」学部に移ったり。卒業したらしたで、就職のあてがないのにアメリカ西海岸をホームレスになりかけながら放浪したりなど。

何かこう、面白そうなことを見つけると飛び込まずにはいられない。たまにそれで失敗することもあるけど、たいていは「あー、楽しかった」という経験がいっぱいたくさんあって、この優美堂との出会いもまさにそんな感じ。

そんなわけで、『優美堂のこと』っていうテーマで、少し回想録というか備忘録というか、現在進行形の部分も含めて思い出などを綴ってみたいなとおもうわけです。

「優美堂」は、神田小川町にあった額縁屋さん。十数年前に僕がお隣の神田須田町で仕事をしていた頃は、まだ現役で営業してました。ランチでちょっと足を延ばした時とか、額縁であふれる店内をチラッと外から覗いたり。中に入ったことはなかったですけど、この富士山の看板はなじみのあるものでした。

この時はまだ、自分がこの建物にこんなにも足しげく通って、解体から施工までがっつりと関わることになるなんて全く想像すらしてませんでしたが。

今から一年ちょっと前の2020年8月。きっかけはFacebookに流れてきた中村政人さんのこの投稿でした。

https://www.facebook.com/masato.nakamura.10/posts/2782893565145041

神田小川町・優美堂再生プロジェクトact01
「優美堂に残存する大量の額を3331に移動して大掃除せよ!」
神田の看板建築でも最も印象深い富士山の絵が堂々と描かれている「優美堂」。現在は、ペンキが剥がれ落ちて痛々しい状態になっていますが、この優美堂をリノベーションするアーツプロジェクトを開始します。
記念すべきファーストアクションは、優美堂内の大掃除です!いつもですが私が行ってきたアーツプロジェクトは、ほぼ大掃除から始まります。掃除も表現なのです。言いかえると優美堂は、約80年ほど経っている建築なので80年分の想いを身体で感じ取る事であり、その空間に風を通し蘇生するための行為なのです。具体的には優美堂内にある大量の額縁などをアーツ千代田3331に運び入れ、建築改修するために出来るだけスケルトンの状態にします。
そこで、この優美堂再生プロジェクトに参加するプロジェクトメンバーを募集します。
建築、アーツプロジェクト、地域コミュニティ等に興味のある方、一緒に優美堂再生を楽しんで行える方、学生も大歓迎です。まずは、掃除に参加してみてから考えるという方でもかまいません。参加希望の方は、東京ビエンナーレ事務局まで名前、職業、連絡先等書いてご連絡下さい。
再生後の優美堂は、1階がコミュニティカフェ&プロジェクトスペース、2.3階がスタジオ&レジデンススペースとなる計画です。プロジェクトメンバーは、優美堂再生後に独自のプロジェクトを展開できます。優美堂再生プロジェクトを一緒につくる事で、ポストコロナ社会のコミュニティや生活の在り方を実践的に考えて行きます。
★日時:8月30日(日) 9時〜16時
場所:優美堂 東京都千代田区神田小川町2-4
連絡先:info(at)tokyobiennale.jp
#神田小川町優美堂

この投稿を目にした瞬間、「あ、面白そう」って思いました。なにかこう、「これは絶対参加しなくちゃ」っていう直感が働いたんですね。この投稿を読んだ次の日の朝に、「参加を希望します」っていうメールを東京ビエンナーレの事務局に送りました。

それから約1年、汗まみれホコリまみれ木くずまみれ、石膏ペンキモルタルまみれになりつつ、7月10日オープンするまで。いや、オープンしてからも、この優美堂再生プロジェクトの一員として、みんなで活動してきました。東京ビエンナーレが終わった今も、まだ続いています。

そんな、優美堂での活動について、そこでの施工作業や、その場所に関わった人たちとのエピソードなんかも含めて、「優しく」書いていこうと思います。

「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。