額縁を運び出すミッション
とにかくもう、ものすごい量のホコリでした。目から耳から鼻から、すごい勢いでホコリが入ってきて。この後三日間くらいは、鼻をかんだり耳を掃除するたびに黒いものが出てくるという。
優美堂再生プロジェクトの第一弾は、まず大量の額縁を店内から運び出すこと。道路から見るとそれほど大きいとは思えないこの建物のいったいどこに、こんなにも大量の額縁があったのか。とにかく、ひたすら運び出しても、運び出してもいっこうになくなる気配がない。なにかこう、この建物自体が異次元に繋がってるんじゃないか、と。驚きました。
中村政人さんの呼びかけで集まったボランティアスタッフは、総勢30名ほど。優美堂からひたすら運び出す係と、3331 Arts Chiyodaのギャラリースペースに集積していく係とに分担して、丸一日ずっと作業しましたが、終わりませんでした。終わる気配すらないというか。
汗とホコリで全身ぐちゃぐちゃになりましたが、こうしてみんなで作業をするのはとても楽しかった。中村さんが「よし、リレーするぞ」と号令をかけると、みんなが一列にならんで、バケツリレーの要領でどんどん額縁を移動していく。店内から外に並べていって、トラックが来たら一気に詰め込む。おじさんも、若者も、女性も、もちろん中村さんも、みんなでひたすら額縁を運びつつける。そこに生まれてくる、リズムとか、流れとか。その中に自分もいるっていうのが、なんかとても心地よいんですよね。
この感覚は、その後もずっと優美堂をリノベーションする作業を続けていく中で続いていきました。
結局、優美堂から運び出した額縁の量は三千を超え、この後サイズごとに分類し、箱詰めし、3331 Arts Chiyodaの地下にすべて格納するまで、まだあと数週間かかりました。この時点で、作業に関わった人たちは軽く100人を超えていると思います。もちろん、全員が毎回参加するわけではなく、この頃は1度しか来なかった人もかなりいましたね。力仕事が多かったですが、体力がある人ばかりが長く続いたというわけでもなく、かえって体力がありそうな人が1度きりしか来ないっていうパターンも。
優美堂のボランティアスタッフは、やがて「ユウビスト」という称号をもらうことになるのですが。それはまだもう少し経ってから。
「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。